2020年07月15日

その手に触れるまで

 宗教とは何なのかを鋭くえぐった問題作。社会で苦しむ人たちを描き続けたダルデンヌ兄弟作品らしいリアリズムを突きつけるような描写にみているこちらも息苦しくなります。

 作品情報 2019年ベルギー、フランス映画 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 出演:イディル・ベン・アディ、クレール・ボドソン、ミリエム・アケディウ 上映時間84分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ムービル 2020年劇場鑑賞114本目



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 【ストーリー】
 ベルギーに住む13歳の少年アメッド(イディル・ベン・アディ)は、イスラム教過激派の導師(オスマン・ムーメン)の影響を受け、急激に過激な思想に染まっていった。母親(クレール・ボドソン)がいくら止めてもきくことはなかった。

 地元の女性教師イレーヌ(ミリエム・アケディウ)が、音楽を使ってアラビア語の授業をしようとしていることが、イスラムの教えに反するとした導師にそそのかされたアメッドは、ナイフを手にイレーヌを殺害しようと計画する…

 【感想】
 宗教による洗脳を受けたらこんな風になるのかと恐怖すら感じさせます。母によるとついこの間までゲームばかりやっていた普通の少年が、イスラム過激派に染まり、周囲の手にとどかないところにどんどんいってしまわけですから。

 イレーヌはアメッドの子供のころから面倒をみていた恩人。けれども宗教の前には義理人情など何も役に立たないのです。宗教のこと以外に感情を失い、自分が妄信する宗教の邪魔だと吹き込まれたら平気で人を殺す。宗教は本来人間を幸せにするはずなのに、本人も周囲も不幸になる。ただ、純真な若者を利用する邪悪な大人だけが得をする。

 中盤からアメッドは少年院にいれられます。日本と違って農場での作業やカウンセリングもしっかり受けられます。それでも、アメッドの信仰心は確固たるものでした。頭のいい彼は、一見、反省したようにみせます。でも、あくまでも目的を達成するために偽ったもん。カウンセラーも刑務官も、子供なだけに見かけに騙されてしまいます。さらに、これらの仕事についている人の偏見と限界もみえます。

 けれども、一見、届かないようにみえても周囲の思いやりがなければ始まらないわけです。その手に触れるまでというタイトルがあるように、差し伸べられる手があるかどうかによって、大きく違ってくる。後半までシビアな現実を見せつけられていたわけですが、なんだかんだいって最後には人に希望をみせてくれるとも思えるような作品でした。
posted by 映画好きパパ at 07:39 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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