作品情報 2020年日本映画 監督:武正晴 出演:日南響子、友近、佐藤浩市 上映時間76分 評価★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン 2020年劇場鑑賞132本目
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【ストーリー】
幼いころから母親の瑞穂(友近)に虐待を受けていた東子(日南響子)はアパートの一室をゴミ屋敷にして、まともな社会生活を送れなくなっていた。ストーカー男の三島(加藤雅也)の尾行をまこうとして雑居ビルに逃げ込んだ東子はトイレの中で銃を拾う。
廊下の血の跡から和成(佐藤浩市)というやくざ風の男が隠したと判断した東子。自宅で銃を見つめているうちに、しだいにその魅力にからめとられていく…。
【感想】
2018年版とつながっているところもあり、リリー・フランキーが同じように刑事役ででていますし、村上虹郎もワンシーンですが同じ役名ででています。逆に日南は2018年版でとんがった脇役ででおり、その時は役名はなくトースト女と呼ばれていたのですが、東子のなれの果てがああなったと納得できなくもないです。
さて、東子が幼いころ兄がなくなり、精神を病んだ瑞穂は兄の代わりに東子が死ねば
よかったのにと呪いの言葉を吐き続けました。その結果、東子の精神もどんどん病んでいきます。それだけではありません。人殺しなど何とも思わない和成、ストーカーで東子に暴力を受けるのを無情の喜びと感じる三島、それに東子を追い詰めることになる悪徳刑事(吹越満)と、まともな人間はだれもいません。昭和のころを感じるような作品全体を覆う雰囲気は、この病んだ様子に独特の美意識をみせていること。東子が銃をマスターベーションのように使っているシーンの映像美はたまりません。
ただ、それだけに僕からすると、なんかお話に出てくるような人を安全な檻越しに見ているとしか思えないのですよね。銃の西川(村上紅郎)が、まだ境界のこちら側の人間だったのにあちら側に行く様子が見えたのに比べ死の迷宮と、ちょっとという感じでした。
日南は当初清純派っぽい売り方でしたが、トラブルで一時消えます。その時の経験がうまくでたというのか、こういういっちゃった役はよくはまっていました。肉体的な色気も十分出していました。スタイリッシュな役柄の多い加藤が、ドMの変態を珍しく演じていたのも、ほんの脇役にも山中崇、宇野祥平、丸山智巳といった悪役顔の癖の強い役者がそろえているのも、まさに歪んだ世界感を醸し出していました。
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