2020年08月03日

アルプススタンドのはしの方

 青春映画というと美男美女の恋愛映画や特別な才能をもった部活か、その合わせ技が大半です。本作はそんな映画ではモブにしかならないような人にも、青春があるというのを教えてくれます。原作は高校演劇だけにリアルな高校生の心情が味わえます。

  作品情報 2020年日本映画 監督:城定秀夫 出演:小野莉奈、平井亜門、西本まりん 上映時間75分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン 2020年劇場鑑賞133本目

 【ストーリー】
 野球部が甲子園出場を果たした埼玉県立入間東高校。生徒たちは強制的に応援に参加させられていた。熱烈に応援する吹奏楽部や控えの野球部員らとは違い、アルプススタンドのはしの方には野球に関心のない生徒たちがパラパラと座っていた。

 野球のことを全く知らずに頓珍漢な会話をしているのは3年生で演劇部の女子生徒、安田あすは(小野莉奈)と田宮ひかる(西本まりん)。少し離れたところに、控えのままで自分の才能に見切りをつけ野球部を退部した藤野富士夫(平井亜門)、少し離れたところに学校一の秀才だが友人のいない宮下恵(中村守里)がたっていた。4人のやる気のなさに、熱血教師の厚木(目次立樹)は文句をつけにいくのだが…



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 【感想】
 
 高校生の青春といえば恋、友情、部活。それに大切なのは勉強。でもこの映画の主要登場人物はそのほとんどと無縁です。野球部をやめたことで、野球部員の友人との交友もなくしてしまった藤野。勉強ができるかわりに恋どころか友情もない宮下。そして、一見、友情と部活はあるようにみえて、実はある事情から互いに遠慮して、本当の友情とは言えない安田と田宮。そんな彼ら彼女らからみれば、高校球児というのは別世界。例えばエースの園田は吹奏楽部の部長で才色兼備の久住(黒木ひかり)と付き合っていて何もかももっているわけです。

 だから、アルプススタンドのはしの方でひっそりとみているわけで、野球部員にたいしては別世界のこととある種冷ややかにみていました。厚木がいくらお尻を叩いても応援に力が入らないわけです。けれども、実はそれは受け取りかたにすぎません。アルプススタンドのはしにいても、人生でたった一度仕方ない高校時代。「しょうがない」なんて悟ったようなことをいっていたら、大切なものを失ってしまいます。

 それが、たった1試合、野球を応援しているうちに4人は本音で語り合うようになり、大事なものが何なのかわかるようになります。たった2時間の試合の間でもグンと成長するのが青春のあらわれといえそうです。同時に、自分もこういう大切な気付きや仲間がいた高校時代だったらどんなによかったと胸が痛くなりました。

 面白いのが野球の映画なのに、野球シーンが一切ない。観客席だけを映しているだけなのです。けれども、観客役の役者の表情や音声で試合がどうなっているのか。園田の活躍や、藤野が気にするだれよりも練習するのに下手で試合に出れない矢野といった野球部員たちが浮き彫りになります。さらに、何もかも持っているはずの久住も、実は悩みがあることを明らかにするとともに、教師だが心は少年のような厚木を配することで物語に厚みを加えます。

 ノースターですし費用の関係かロケは地方球場でやっており、最初は予選の話かと思いきや、セリフで甲子園の話だとわかります。ここはご愛敬ですが、エピローグ的な逸話も関係してきて、最後までうまい脚本だなとうならされました。
posted by 映画好きパパ at 07:36 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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