【ストーリー】
中世ヨーロッパ風の異世界。行商人で商売に夢と情熱を持っている青年クラフト・ロレンス(声・福山潤)は、南部のパスロエ村で荷馬車に一人の少女が紛れ込んでいるのを発見する。狼の耳としっぽを持つ少女は賢狼ホロ(小清水亜美)という狼の化身だった。ホロは長年、麦が豊作になるよう努力し、村人から神とあがめられていたが、近年、農業技術の発展で信仰が薄れたこともあり、村を離れて故郷の北の森に帰りたいと考えていたのだ。
ホロとロレンスは共に旅をすることになる。途中、商売敵の陰謀に巻き込まれ、時には命を狙われることもあったが、ロレンスは商人としての腕前をあげていくことになる。
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【感想】
最初のころは行商人と狼少女ということで、面白い組み合わせとしてみていたのですが、途中に次々とでてくる経済的な問題が難しく、見返すこともしばしば。貨幣の改鋳によるインフレ効果とか、価値のないものが突然値上がりするバブルと崩壊など、現実の経済にも応用できるようなできごとが次々と起こります。
さらに、ホロの正体が普通のひとにばれたら、教会に通報されて一緒にいるロレンスの命も危うくなります。一方、町から町への移動も安全ではなく、途中の森には盗賊や危険な野生動物もうようよしています。こうした身の危険から、普通の青年であるロレンスがどうやって切り抜けるのか。時には狼の超人的な力を使いつつ、乗り切っていくのは、他の作品にはみられない冒険ストーリーであり、楽しめます。
世界観もしっかりしており、同郷のもので商業組合を作っていたり、各都市の領主がかける関税や教会への寄付金などはどういう役割かきちんと位置づけられています。また、商人としての道徳で、騙しはしないけれど知識がないものや自分にひどいことをしたものからはきっちり儲けていくというロレンスの姿勢もすがすがしい。商業道徳とはこのようなものかというのは、時代を超えて痛感させられます。
そして、何よりホロとロレンスの関係が気持ちよい。ホロはいわゆるツンデレなんですが、ロレンスが自分のミスや愚かさで失敗したときはきちんと指摘するし、時には口論になるなど完全にデレデレでなく、商売では対等のパートナーというのが大人の関係。一方で、ホロは大食漢ですぐ酔っぱらってつぶれるという危うさもあり、しっかりもののロレンスが彼女を優しく支えるというのも、他の異世界系アニメに少ない、観賞に耐えられる関係になっています。
原作の中で終わっており、残念ながら続編が作られるか微妙でしょうが、2018年にVRアニメとして新作がゲーム化されました。まだまだファンが多く、高評価の作品といえましょう。★★★★
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