作品情報 2020年日本映画 監督:山口淳太 出演:土佐和成、藤谷理子、朝倉あき 上映時間70分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2020年劇場鑑賞142本目
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【ストーリー】
雑居ビルの1階でカフェを営むカトウ(土佐和成)は、2階の自室に戻ったときパソコンのモニターから自分を呼ぶ声に驚く。なんとそれは自分自身で、2分後のオレだという。2階のパソコンモニターと1階のカフェにあるテレビが2分の時間差でつながっているというのだ。
混乱しつつも1階におりて、本当に2分の時間差があることを確認したカトウ。カフェの店員のアヤ(藤谷理子)や常連客のコミヤ(石田剛太)、カトウが片思いしている隣人のメグミ(朝倉あき)らを巻き込み、てんやわんやの騒動に…
【感想】
ドロステ効果とは合わせ鏡のように、入れ子構造が無限に続くような効果を言うそうです。なぜ、このタイトルかは実際にみたらわかりますが、よくできた内容です。京都を拠点としている劇団ヨーロッパ企画のオリジナル作品で、ほとんどが店とカトウの部屋が舞台となっている演劇のような感じ。セリフの応酬も実にみごと。
未来がわかるといってもたった2分のこと。2分後の自分から教えてもらえることも最初は無くしたギターのピックがどこにあるかとか、しょうもないことです。しかし、常連客のオザワ(酒井善史)があることを思いついてから、事態はどんどん動いていきます。登場人物たちもこの状況にどう対応するか混乱しますが、観ている僕もどういう理屈になっているかついていくのがやっとです。
登場人物たちはどこにでもいそうな普通の人々。その彼女彼らが突然のSF的現象と遭遇し、いかにも小市民的な行動をする。その一つ一つが演劇らしく、緻密な伏線になっています。このへんはただただうまいなと感心しました。
この2分後の未来というのは撮影でも難しく、セリフ回しはストップウォッチで秒単位で計測して、きっちり2分が守られるように計算したとか。しかも全編iPhoneによる長回し撮影で、合成は一切つかっていないといううたい文句。画面の中は別どりしているそうです。演じる役者も大変だったでしょうが、観ているこちらも、少しでも見落とさないよう緊張感を強いられました。エンディングロール後に重要な追加情報がありますので、最後までお見逃しなく。
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