2020年08月21日

思い、思われ、ふり、ふられ

 青春恋愛映画の名手・三木孝浩監督が思いが届かない4人の高校生の姿を描いた切ないラブストーリー。浜辺美波と北村匠海の美しさとうまさは目を見張るものがあります。

  作品情報 2020年日本映画 監督:三木孝浩 出演:浜辺美波、北村匠海、福本莉子 上映時間124分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズららぽーと横浜 2020年劇場鑑賞151本目 



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 【ストーリー】
 朱里(浜辺美波)の母(戸田菜穂)の再婚相手は同級生の理央(北村匠海)の父親だった。理央は朱里に片思いしていたが、姉弟になったためそのことは言い出せなくなった。

 朱里は引っ越し先のマンションで同じ高校に入学する由奈(福本莉子)と友人になる。由奈は内気な少女だったが、幼いころに絵本でみた王子様にあこがれており、そっくりな理央に思いを寄せる。一方、朱里は同じマンションに住む由奈の幼馴染の和臣(赤楚衛二)の飾らない素直な姿が気になっていく。

 【感想】
 少女漫画原作らしく、切ない片思いが美しく描かれています。けれどもそれだけでなく、成長していく彼らの姿を、独特のやわらかい自然光をつかった撮影でみせてくれるのはさすが三木監督。正直、ストーリー的に説明不足のところも一部あるのですが、そんなに人生って理路整然といかないですからね。

 朱里は母が離婚を繰り返したため、家族が壊れることを恐れています。そのため、今の家族を守るために自分が犠牲になればいいと考えてしまう。理央も好きな人が姉になってしまったため、自分の気持ちを言い出すことはできない。由奈も内気で人と話すことが苦手で、他人の目が気になって自分の思うことができない。和臣も兄(古川雄輝)が両親とけんかして大学をやめて家出したため、自分の将来の夢のことを押し隠そうとします。

 単なる恋愛ドラマでなく、主要登場人物4人はそれぞれ大人の都合や周囲のことを過剰に忖度して、自分のことを押さえつけようとします。本来、高校生という夢も希望もあふれる時期なのに、大人にはかなわないため、空気を読んで自分を押し殺すしかない。それでも人のことを好きになり、何とかあがいていく姿はとにかくいとおしい。そして、自分の心に向き合い、思いを伝えようとして失敗も成功も繰り返すうちに少しずつ成長していく姿は、この時期の若者ならではの特権なのでしょう。こんなふうに変えようとする彼らのすがたを見ると、自分も何十年前の高校時代に、自分に正直に真摯に生きればよかったと思ってしまいます。でも、それができなかったから、大人になっても自己評価が低いのかもしれません。

 なんといっても浜辺のオーラはすごいものがあります。セリフをいわずに目力だけで言い表す場面とか、ただただみとれてしまいます。これに対して福本のフレッシュさがいい組み合わせになっており、役柄とマッチしていい感じになっていました。男優では北村の色気はすさまじい。予告編でもありますが、口止めするために人差し指を手にあてるシーンは男性の僕でもゾクゾクしてしまいました。まあ北村と浜辺は中学時代まで演じているのはご愛敬ですが。赤楚もこれまでチャラい役柄のイメージでしたが、本作のちょっと天然のはいった朴訥な少年というのもはまってました。やっぱり三木孝浩作品は若手俳優の演出がうまいですね。

 神戸のロケもいいし、自然光を使った撮影やBGM、髭団の主題歌、それに雨の使い方もこの映画の雰囲気にぴったり。ちょっとセリフがききとりずらいところもあったけど、それもふくめて自然な雰囲気を重視したのでしょうね。心に染み入る青春ラブストーリーの秀作でした。
posted by 映画好きパパ at 06:54 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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