作品情報 2020年日本映画 監督:瀬々敬久 出演:菅田将暉、小松菜奈、斎藤工 上映時間130分 評価★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン 2020年劇場鑑賞156本目
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【ストーリー】
北海道・美瑛に平成元年に産まれた高橋漣(菅田将暉)は中学生の時、同級生の園田葵(小松菜奈)と運命的な出会いを果たす。当時、葵はDVを受けており、彼女を助け出した漣は一緒に町を逃げ出したが大人に見つかり、離れ離れになっていた。
やがて漣は地元のチーズ工房に就職。幼馴染の親友、竹原直樹(成田凌)の結婚式で、葵と再会を果たす。だが、東京の大学に進学し、キャバクラで学費を稼いでいた彼女は青年実業家の水島大介(斎藤工)のものとなっていた。やがて、漣はチーズ工房の先輩、桐野香(榮倉奈々)と付き合うようになる。一方、葵はシンガポールに移住し、友人の高木玲子(山本美月)とネイルサロンを起業していた。だが、二人の運命の糸は…
【感想】
離れ離れになりながらもつながっている赤い糸。難病、DV、幼い娘との絆、財産をだまし取られても前向きに生きようとする姿など泣けるエピソードが序盤からてんこ盛り。最近の流行をとりいれてか、美瑛の子供食堂のおばあちゃん(倍賞美津子)も登場して貧困問題にも目を向けています。さらに、北海道の美しい大地だけでなく、沖縄の海辺ののんびりした時間、シンガポールのいけいけの雰囲気などロケ地もうまくとっています。
だけど、登場人物の心情がテンプレ通りにしかみえず、深みがほとんど感じられませんでした。唯一、心にひっかかったのが、竹原の恋人の山田利子(二階堂ふみ)が東日本大震災で奇跡の救出をされたけどPTSDになってしまったというエピソード。これは二階堂のさすがの名演に感心しました。
それ以外は、そうだよね、泣けるよね、感動するよね、とこちらも投げやりに相槌をうちたくなるほど。いい話だけどそれ以上でないのですよね。特に終盤になると、登場人物の心理の変化もよくわからにし、エスパーかと突っ込みたくなるような展開でした。
平成に沿ってということで、リーマンショックや東日本大震災といった平成にまつわるエピソードも物語の背景として出てくるのだけど、これも前述の利子をのぞけばあまり効果的ではありません。むしろ、映画内のインタビュー映像で、通行人に平成とは何かを聞くシーンがあり、「おおむね平穏だった」という回答があったことがすごかった。主人公2人は平穏どころでない人生を歩いているけど、平成の世の中事態は災害などもあったとはいえ、おおむね平穏で、令和のコロナショックから見るとうらやましい限りです。
主役の菅田将暉と小松菜奈は見事なまでに安定した組み合わせで、みていて安心ができます。脇も主役級をそろえており、シンガポールで葵と知り合う青年役の高杉真宙がクレジット3番目というのにはちょっと驚いたけど、高杉を含め適材適所に豪華キャストを使い、もったいないくらい。
瀬々監督ってこういう商業的に売れそうな題材を撮ると手堅くまとめてきて技巧を感じるのだけど、でも、往年のヘヴンズ ストーリーや、近年でも菊とギロチンといった尖がった作品を撮っているだけに、ちょっともやりました。
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