【ストーリー】
ゴリラみたいな体格と容姿の高校1年生剛田猛男（声・江口拓也）は並外れた体力をもち、熱い心をもった男の中の男。同性からは憧れられるが、女子からは容姿などを馬鹿にされていて、女性と付き合ったことがなかった。親友の砂川誠（島﨑信長）は彼と好対照のクールなイケメン。猛男が好きになった女性はすべて砂川のことを好きになっていたが、彼もだれとも付き合おうとしなかった。
ある日、猛男は車内で痴漢にあっていた女子高生・大和凜子（潘めぐみ）を助ける。猛男は大和に一目ぼれするが、後日お礼に来た時の様子から彼女も砂川のことが好きだと思い込み、2人の恋を成就すべく奮闘する。だが、彼女が本当に好きだったのは猛男だった…
【感想】
恋に奥手の猛男の勘違いから始まる恋ににやにやしてしまいます。大和も奥手であり、2人の誤解はすぐにとけて付き合い出すけれど、恋愛初心者だけに失敗続き。相手のことを心底好きなだけなのでかえって自分のことをダメに思えてしまうというのが、体は大きくなってもまだ子供みたいでほほえましい。
猛男の人間離れした体力はコメディパートになりますけれど、それに惑わされず猛男の内面をしっかりみていた大和の良さというのも物語が展開するにつれてよくみえてきます。そして、恋のライバルも登場しますが、みんな性格がまっすぐで、他人のことを思い、それでも好きになってしまった自分に悶えてしまうというのが、いかにも青春少女マンガあるあるという感じで、これまた見ていてこちらもどの登場人物も応援したくなります。
恋愛をテーマにした青春ドラマは片思いとか、意地悪な恋のライバルとかで盛り上げるけど、本作は不器用で誰よりも相手を思いやる恋愛初心者の両想い。それでも、コミカルな部分を随所に盛り込み、最後まで笑って切なくさせて、青春っていいな、人を好きになるっていいなと思わせるストーリーテリングはお見事です。
突っ込み役だけどだれよりも猛男のことを考えてきた砂川との友情、砂川の姉の愛（井上喜久子）を含めた幼馴染の関係もまたいい。砂川がなぜこれまで女性を振ってきていたかという理由は、男ならあこがれの一言です。そのほかのキャラクターも変な人や思い込みの激しい人はいても悪人はいない。唯一の悪役といっていい痴漢にまでワンカットですが救われた描写があったのには驚きました。嫌なことが多い時代だけに、映像の世界だけでも幸せになりたい。そんな望みをかなえてくれる作品です。★★★★★
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