でも、このエンドロールがとびきり素晴らしい。
作品情報 2019年インド映画 監督:ニテーシュ・ティワーリ 出演:スシャント・シン・ラージプート、シュラッダー・カプール、ヴァルン・シャルマ 上映時間143分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:川崎チネチッタ 2020年劇場鑑賞160本目
【ストーリー】
1990年代、インド随一の大学であるムンバイ工科大に入学したアニ(スシャント・シン・ラージプート)は第四寮に入居が決まる。第四寮はおんぼろで問題児が集められ、寮対抗のスポーツ大会はいつも最下位のため、負け犬と呼ばれていた。しかし、アニはそこで素晴らしい仲間たちと恋人のマヤ(シュラッダー・カプール)と出会いかけがえのない日々を過ごす。
現在、アニの息子のラーガヴ(モハマド・サムド)は受験に失敗。エリートである父からプレッシャーを感じていたラーガヴは飛び降り自殺を図る。生死の境を様よう息子に、アニと、今は離婚してしまったマヤは学生時代に自分たちが負け犬だった思い出を語る。そして、何十年ぶりに学生時代の友人たちも病室に集まり、学生時代の自分たちについて語りだす。
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【感想】
日本以上にインドは学歴社会。そのトップの工科大を両親そろって卒業して裕福な生活を送っているのだから、ラーガヴにとってはすごいプレッシャーのはずです。そして、大学に入れば勝ち組のエリート人生が待っていて、それを得られない自分は両親を失望させたと思い込んでいたのでした。しかし、両親が大学とはそんな勝ち組負け組を決めるものではない、大学内でも格差はあるし、そんなことより日々を懸命に生きることの大切さを教え込みます。
アニたちの学生時代は90年代の日本から見ればしんじられないバンカラ。夜中にバケツの水をぶっかけあったり、エロ本を自室にため込んだり、飲んで歌って喧嘩して。そんななか、負け犬とほかの寮から馬鹿にされる第四寮は汚名を返上しようと寮対抗の競技大会で優勝を目指します。
しかし、ろくな選手がいない中、彼らがとったてはある意味卑怯なもの。芝居の名手セクサ(ヴァルン・シャルマ)が、わざとラフプレーを受けたふりをして倒れて相手を退場に追い込んだり、大事な試合の前夜に、マヤが相手選手のところに電話をかけ長電話をして調子をくずさせたり。ほかの映画だったら悪役がやるようなことを平然とやります。ただ、そんなバカげたことも含めて青春なんですよね。
一流大学を出れば金や地位は約束されたも同然だけど、そんなことよりもっと大事なのは友情や恋。何より、結果がどうあれ目的にむかって努力することが大切だ。アニたちの話す学生生活は、今の日本から見れば牧歌的なものかもしれませんし、まして競争の厳しいインドではおとぎ話のようでしょう。でも、人生の大切な真理が含まれている
と思います。
エンディングソングの日本語歌詞も、遠い将来を悩んで投資するよりも食べて飲んで今を精いっぱい楽しもうという曲で、登場人物たちが楽しそうに踊ります。結局、人生で重要なのは生きていることを楽しむこと。そういう当たり前だけど忘れがちなことを教えてくれます。
ただ、非常に残念なことにスシャント・シン・ラージプートは今年自殺しました。トム・クルーズの面影もあり、今後の飛躍が期待される俳優なのに驚きました。クーリエジャポンでインド芸能界のカースト制度にまつわる問題だとの指摘もありましたが真相はわかりません。しかし、映画の中で楽しそうに青春を謳歌し、生きることの大切さを訴えていたのに残念でなりません。ご冥福をお祈りします。
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