【ストーリー】
鎌倉にある白浜坂高校の声楽部3年の宮本来夏(声・瀬戸麻沙美)は2年の大会で失敗し、顧問の教頭・高倉(田中敦子)から歌うことを禁止された。怒った来夏は声楽部を退部して、新たに合唱部を作ることを決意する。
来夏は親友の沖田紗羽(早見沙織)に頼み込み合唱部を設立する。だが、高倉から部員が5人必要といわれたため、クラスメイトで元音楽科の坂井和奏(高垣彩陽)を誘うが、母の死のトラウマで音楽から離れていた和奏は名義を貸すことだけ了承する。さらに、部員が足りなくなり廃部の危機にあったバドミントン部の田中大智(島ア信長)とウィーンからの帰国子女、前田敦博(花江夏樹)と交渉。合唱時々バドミントン部としてスタートする。
【感想】
余計な成分が少ない純粋な青春もの。合唱時々バトミントン部は男性2人女性3人なのに、みんな同志。友情はまぶしいけど、恋愛に時間がとられることがない。それより合唱のすばらしさがちょっとずつ広まっていくのがいい。仲間が団結して、それぞれが協力したりぶつかったりして前に進む。バドミントンの複数人対決とか、クスリとするシーンも盛り込まれています。
また、主人公が妙に強いみたいなのもないんですよね。厳しい教頭にはかなわないし、合唱が全国大会にでるほど上手いわけでもない。それでも、みんなそれぞれ夢を持っているのがけなげ。中でも騎手になりたいけれど、体格が大きくて難しく親にも反対されている紗羽のエピソードが、心配して猛反対する父親(木下浩之)の考えもわかるだけに胸が痛くなります。
また、過去が現代につながっているシーンもいい。ウィーンの友人に手紙を送っても転居先不明でなかなか届かないけど、何とか思いを伝えようともがく場面や、和奏の母が合唱部のOGで、死んだ母親の思いを知ることで、親の死を乗り越えるとともに、母親の友情を知るという展開も心を打ちます。
合唱がテーマだけに劇中の音楽もいいけれど、エンディングロールの映像が最初は2人だけだったのに、徐々に人数が増えていくところも青春アニメらしくてとにかくよかった。声楽部の生徒たちも、それぞれ合唱部へのスタンスが違っているけど、同じ歌う高校生で通じ合うところもあり、生徒に悪人がいなかったというのも、またのびのびしています。ドロドロした作品が多い中、こういう徹底的に爽やかな青春アニメは貴重だといえましょう。
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