作品情報 2020年日本映画アニメ 監督:今井一暁 声の出演:水田わさび、大原めぐみ、木村拓哉 上映時間110分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ港北ニュータウン 2020年劇場鑑賞162本目
【ストーリー】
恐竜博にいったのび太(声・大原めぐみ)はジャイアン(木村昴)やスネ夫(関智一)に馬鹿にされ、生きた恐竜を見つけてみせると賭けをする。恐竜博でもらった化石をドラえもん(水田わさび)に頼み、タイムカプセルで孵化したところ、羽根のはえている見たことのない双子の恐竜が生まれた。
人懐っこく元気なメスをミュー、体が小さくて臆病なオスをキューと名付けてかわいがるのび太。だが、いつまでも現代で飼うことができないため、6600万年前の白亜紀に返しに行くことにする。ジャイアン、スネ夫、しずか(かかずゆみ)とともに過去の世界で大冒険が始まる。
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【感想】
スタートはドラえもん映画によくあるパターン、のび太が知ったかぶりをしてジャイアンたちと賭けをして、ドラえもんに泣きつくという展開です。また、秘密道具を使って珍しい動物を孵化し、育てるというのもよくある話。しかし、本作が違うのはのび太が勉強、努力をするというところ。
キューは食べ物の好き嫌いが激しく、体も弱い。のび太はキューのために恐竜の生態を図書館で調べ、わざわざ学芸員(小野大輔) のところに話を聞きに行きます。また、学校では逆上がりができないため、何とか克服しようと努力します。今までののび太はドラえもんの秘密道具や主人公補正に助けられ、自ら勉強するような様子はありませんでした。しかし、本作ではごく普通で特段秀でた才能がない人間でも努力すればム加えるという描写になっています。
のび太はキューが臆病で何もできないのを見て、自分と重ねあわせるとともに、キューの親代わり、指導者替わりとしてきちんとしつけます。のび太が愛情をもっているからこその厳しさであることがキューもわかり、キューも努力します。
ネットではこうした点に冷笑的な意見もみられます。しかし、きつい練習や努力をしなければ普通の人はうまくなりません。そういう当たり前のことを批判することこそ格好いいという醒めた考えに、真っ向から努力の意味を伝えるという制作者側の姿勢に拍手を贈りたくなります。子供向け映画として最適です。
また、恐竜についての最新の知見も得られます。恐竜は色鮮やかで、羽根もはえているという学説もそうですし、恐竜の名前も僕の子供のころに覚えたのとは違っています。小惑星の衝突で地球全体に熱風が吹き荒れてその後氷河期になるとか、勉強になります。
そして、ワクワクドキドキする冒険の数々とドラえもんの秘密道具のうまい使い方。何より、平凡で弱いものだって無駄な生き方なんてないという制作者側からの力強いメッセージ。悪役が本作ではおらず、むしろのび太たちと異なる立場でありながら、それを尊重する大人がいるというのもうまい。
ゲスト声優に木村拓哉と渡辺直美がでていますが、この2人もうまくはまっています。特に木村は「ハウルの動く城」もそうですが、声優としても一流です。特別出演で神木隆之介が出ている理由もあとで知りましたが、これも含めて伏線のはりかたもうまい。子供だけでなく大人も楽しめる秀作でした。
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