2020年09月04日

オフィシャル・シークレット

 2003年のイラク戦争前夜、違法行為で開戦しようとするイギリス政府を止めようと、女性諜報部員がマスコミに機密情報をリークした実話を映画化。公務員と政権の関係やマスコミの在り方など、今の日本からみると胸熱です。

 作品情報 2018年イギリス映画 監督:ギャヴィン・フッド 出演:キーラ・ナイトレイ、マット・スミス、レイフ・ファインズ 上映時間112分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2020年劇場鑑賞164本目



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 【ストーリー】
 2003年、イギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)の職員キャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)は、アメリカの諜報機関NSAから、国連安保理常任理事国の盗聴依頼が来て驚く。イラクとの戦争を始めるため、違法行為で圧力を加えようというアメリカの横暴に腹を立てたキャサリンは、マスコミにリークする。

 GCHQで犯人捜しが始まり、疑われた仲間が尋問されるのをみて、キャサリンは自首をする。国家機密漏洩罪で逮捕されたキャサリンは、敏腕弁護士のベン(レイフ・ファインズ)に弁護を依頼する。だが、イギリス政府は逮捕だけでは飽き足らず、キャサリンの夫でクルド人のヤーサー(アダム・バクリ)に嫌がらせをはじめる。

 【感想】
 当時、欧米では大騒ぎしたそうですが事件のことは全く知りませんでした。キャサリンはプロとして上司からも高く評価されていました。しかし、広島で英語教師をした経験から、子供たちをはじめ無実の市民が殺される戦争には反対でした。女性スパイものということで、このへんもジョーンの秘密と似ているかも。
 
 ただ、リークした当初はあくまでも腹いせにすぎず、直後は自分のやった行為に後悔します。しかし、逮捕され自分の行動をきちんと考え直します。それは公務員は時の政権に仕えるのでなく、国民に仕えるということ。実はキャサリンだけでなく、リークを受けたオブザーバー紙の記者マーティン(マット・スミス)が、裏を取りに行った議会の大物は、軍や国民の安全を損ねる記事は発行停止にするが、時の政権を批判するだけでは発行停止にならないと判断します。

 日本の場合、上級公務員が人事を気にして時の政権に忖度することが問題になっています。公務員とは国民に仕えるものだという意識が必要だとキャサリンの行動をみていれば痛感します。もっともイギリスでも彼女のような存在は珍しかったわけですがね。それでも、何のために働くのかというのは、公務員に限らず重要なことです。

 一方、オブザーバー紙もスクープを取るために全力を尽くします。日本の政権批判をするマスコミは悪口を羅列するだけで、国家の安全を脅かすような記事を必死でとろうとしているとはまったく思えません。単に首相や官房長官の悪口をいっただけで仲間同士で持ち上げているとすら思えてしまいます。この映画をみると、なんだかんだいってイギリスに民主主義は根付いているなあ。あまり、外国をほめて日本をけなす出羽守になりたくないのですが、本作をみるとどうしても考えてしまいます。

 また、逮捕された後保釈されるというのも日本では考えられないこと。ゴーン被告のときに人質司法がいわれましたが、国家機密漏洩しても保釈されるのはびっくりです。一方で、イギリス政府の低レベルの嫌がらせは、洋の東西を問わず小役人とはこういうものかと思わされます。いかにもイギリス映画らしい皮肉ぶり。

 キーラ・ナイトレイは相変わらず作品選びがうまい。また、レイフ・ファインズをはじめおじさんたちの重厚な演技も見どころです。こういう社会派をしっかりとしたエンタメにできるっていうのもすごいなあ。
posted by 映画好きパパ at 07:12 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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