【ストーリー】
高校生の安楽岡花火(声・ 安済知佳)と粟屋麦( 島ア信長)は一見理想の美男美女カップル。だが、2人には秘密があった。花火は幼いころからかわいがってもらった近所のお兄ちゃんで、今は担任教師の鐘井鳴海(野島健児)のことが好き。麦は中学の時の家庭教師で、この春、高校の音楽教師に赴任した皆川茜(豊崎愛生)のことが好きだった。しかし、教師と生徒の溝は埋められず、2人とも踏み込むことができなかった。
そのため花火と麦は契約を結ぶ。それは、互いに別の人間が好きだといことを承知の上で、心は渡さず、体だけの関係を結ぶというもの。つまり、代用品としての疑似恋愛で傷をなめあうものだったのだ。自分たちのやっていることがクズでやさぐれていくことを知りながら、周囲を巻き込みどんどん深みにはまっていく。
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【感想】
恋愛をテーマにしたさまざまな作品がありますが、ここまでドロドロした人間の本音を突きつけられる作品はみたことがありません。主役2人だけでなく、一見、清楚な女子アナ風の茜は他人の男を奪い肉体関係をもつことに快感を覚えるビッチ。花火の親友の絵鳩早苗(戸松遥)は、同性愛者で花火と関係を結ぶことに。真面目そうな鳴海もマザコンであり、性的に未成熟なことが示唆されます。なにしろ、主な登場人物が全部で9人いるのですが、全員がだれかと肉体か心の関係をもっているのです。
横槍メンゴの原作漫画を忠実に再現していることもあるのですが、モノローグを多用します。はたから性的に規範が緩んでいるようにみえても、何を思ってそういう行動をするのか、モノローグによってわかるようになります。例えば、親を亡くしたことでぽっかりと空いた心の穴埋めだったり、幼いころからの変な性癖だったり。それは自分勝手な理屈だったり、何を言っているのか論理的に意味不明のこともあるのだけど、それが人間だと思うのですよね。
演出もいろいろ凝っています。画面を2分割してそれぞれの表情を映したり、心の中のもう一人の自分がでてきたり、モノクロだったのが好きな人と出会うことで世界に色がついたり。高校生がここまで性的に奔放だったら、おじさんとしてはびっくりしちゃうのだけど、高校という閉ざされた世界のなかだからこそ描かれることができるのでしょう。ギャグ的なカットがはいることもありますが、ラブシーンはとてもきれい。高校生が放つとは思えない名言の数々もあり、大人がみても性愛の奥深さが感じられます。
登場人物のなかでは2人の幼馴染で、幼稚園のころから麦のことが好きだった鴎端のり子(井澤詩織)が一番のお気に入り。自分で最もかわいい「もか」と名乗りますが、おとぎ話のお姫様のような純粋でまっすぐな女の子。それゆえにクズ女好きの麦から相手にされず空回りばかり。いよいよ結ばれそうになった時のエピソードはぞくぞくします。
リアルタイムに視聴してきたときは、次の展開がどうなるのかドキドキしながらみました。実写ドラマと同時放送していて、両方もDVDを購入して何度もリピートしています。そして、この世界にあったOPとEDの音楽のすばらしさと、その時に流れる映像の意味深長なこと。とにかくすごい作品でした。★★★★★
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