作品情報 2019年アメリカ映画 監督:マリエル・ヘラー 出演:マシュー・リス、トム・ハンクス、クリス・クーパー 上映時間109分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:新宿武蔵野館 2020年劇場鑑賞168本
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【ストーリー】
雑誌記者のロイド(マシュー・リス)は優れたジャーナリストだが、きびしい記事でしられていた。ある日、人気子供番組の司会、フレッド・ロジャース(トム・ハンクス)の紹介記事を上司から命じられる。
そのころロイドは、かつて幼い自分と母を捨てて女に走っていた父のジュリー(クリス・クーパー)を許せず苦しんでいた。フレッドはロイドが苦しんでいることを知り、初対面の彼を友人のように遇する。そして、なんどか取材にいくのだが…
【感想】
フレッド・ロジャースはアメリカを代表する子供番組の司会。30年も続いた番組内での姿同様、本人も温厚で知性あふれる人物としてしられたそうです。映画の一シーンで地下鉄で彼をみつけた子供が、番組の主題歌「A Beautiful Day in the Neighborhood」を歌いだすと車内の乗客が一斉に歌いだすシーンはジーンときました。人間観察にも優れており、ゲイルの悩みに気付いて何とか彼のためにしようとする姿勢は心が温まります。
また、子供番組だからといって子供を見下すことはありません。むしろ子どもの気持ちを大人が理解することが大事だといいます。ゲイルに関しても同様で、彼のことを見下したり、自分の意見を押し付けたりするのではない。ロジャース自身の子育ての悩みを、インタビューできちんと答えるなど、等身大の自分をみせることで、すっと寄り添って心の隙間を埋めてくれる。そんなありがたい存在です。
ただ、親子の関係って和解すればいいのかな、という気もしました。アメリカらしい家族の再生を打ち出しているのだけど、もっと深いもろもろのことがあるのに、赦すということはそんなに簡単なことなのか。そんなふうにちょっと意地悪に感じてしまいました。
アメリカの良心ともいえるトム・ハンクスは一種の聖人のような役割を果たしています。子供番組なので子どもっぽい態度をとることもありますが、まさに彼にうってつけ。オスカーノミネートもわかります。その分、主役のマシュー・リスが役柄とはいえ、ちょっと類型的にみえてしまったかも。それでも人間の良心とか家族の再生とか、こういう時代だからこそ観客の心に響くのかもしれません。
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