2020年09月18日

Mid90s ミッドナインティーズ

 90年代半ばのティーンエイジャーたちの青春物語。男の子の未熟さ、悪ぶりたがりに苦笑してしまう、ほろ苦さも交えています。ただ、リアルなドキュメンタリーの「行き止まりの世界に生まれて」と見比べるとあちらのほうが考えさせられました。

 作品情報 2018年アメリカ映画 監督:ジョナ・ヒル 出演:サニー・スリッチ、ルーカス・ヘッジズ、キャサリン・ウォーターストン 上映時間85分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイ横浜 2020年劇場鑑賞178本



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 【ストーリー】
 1990年代、13歳の少年スティーヴィー(サニー・スリッチ)は暴力的な兄イアン(ルーカス・ヘッジズ)、過保護気味の母ダフネ(キャサリン・ウォーターストン)との暮らしに鬱屈した日々を送っていた。

 スケボーショップで年上の不良少年、レイ(ナケル・スミス)たちのグループと知り合ったスティーヴィーは、グループの仲間入りをする。そこは家庭でのうさをはらしてくれるところだった。スケボーやパーティーなど毎日を楽しむスティーヴィーだったが…

 【感想】
 太っちょのコメディ俳優という印象があるジョナ・ヒルの初監督作品。本人の自伝的要素もあるそうで、思ったよりまじめでかつ、突き放したように撮っています。売れっ子のルーカス・ヘッジズを脇に回して、主役を張るサニー・スリッチの一見ベビーフェイスだけど壊れそうなもろさが印象に残ります。

 スケボーが不良少年の集まりで、家庭や学校で行き場のない子供たちが親密になるアイテムというのは、20年たった今でも「行き止まりの世界に生まれて」描かれています。また、レイたちのグループで人付き合いの苦手なフォースグレード(ライダー・マクラフリン)が、カメラを回して仲間たちを撮影しているというのも「行き止まり〜」とそっくりで驚きました。

 この年頃の少年が悪ぶるというのはわかります。しかも、自宅では圧制をひいている兄も、さらに年上の不良グループの前では借りてきた猫のようだし、いつまでも子ども扱いする母にも、不良として男であることをみせる。スティーヴィーの成長期、反抗期の心理は納得できるもの。

 ただ、結局、彼らの友情というのは刹那的でうわべのものでしかないんですよね。みんな家族や将来の夢の代償として、その場のスケボー仲間とつるむ。大人になったら離れなければならない。それがわかっているから、理由もなくいら立つのだろうし、喧嘩早くなってしまう。パーティーで女の子たちとの交流もあるけど、現実をシビアに受け入れている女の子たちと比べると、男って本当にガキにみえてしまいます。

 そして、貧困や家庭の事情もうすうすは分かっても踏み込まない。そうではなく刹那的な付き合いの毎日を楽しむというのは、一縷のむなしさが伝わってしまいます。アメリカの忘れられた人たちがどんな感じなのか、本作と「行き止まり」の両方を見比べるというのは、貴重な体験だといえるでしょう。
posted by 映画好きパパ at 06:35 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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