2020年09月22日

窮鼠はチーズの夢を見る

 恋愛映画の名手、行定勲監督が同性愛を描きました。大倉、成田だけでなく女性陣の演技もお見事。基本静かななか、時折みせる激しさと表情や間のとりかたなどの細部の演出がすばらしい。行定作品では一番好きです。

 作品情報 2019年日本映画 監督:行定勲 出演:大倉忠義、成田凌 、吉田志織 上映時間130分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2020年劇場鑑賞182本



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 【ストーリー】
 エリートサラリーマンの大伴恭一(大倉忠義)のところに、大学の後輩の今ヶ瀬渉(成田凌)が現れる。今ケ瀬は探偵をしており、恭一の妻、知佳子(咲妃みゆ)の依頼で不倫調査をしていたのだ。

 恭一は相手から言い寄られるとつい流されてしまい、デザイナーの井出瑠璃子(小原徳子)と不倫していた。今ケ瀬は不倫の洋子をもみ消す代わりに、自分とキスするよう要求する。今ケ瀬はゲイで、学生時代のころから恭一のことが好きだったのだ。最初は男とキスすることを拒否した恭一だったが… 
 
 【感想】
 今まで恋愛の対象としてみていなかった同性からせまられたらどうなるのかな。成田のようなイケメンだから許されるというのもあるかもしれませんが、恭一が基本受け身の恋愛で生きてきたということもあり、最初は拒否っていた二人の関係が徐々に深まっていきます。

 成田の時には猛烈に押したり、時には子犬のような目で恭一をみつめたりという変幻自在の演技もいいですし、最初はうざがっていた恭一が、受けから攻めにまわっていくという心情がこまやかに描かれているのも、恋愛映画としていい。言葉だけでなく、椅子や灰皿といったグッズが効果的に使われています。

 さらに、中盤、恭一の学生時代の恋人だった夏生(さとうほなみ)が登場して、男性同士の恋愛に男女の駆け引きが加わり、物語は重層化していきます。高級中華レストランで食事をするときに、一見、和やかな会話をしつつ、目が笑っておらず、やがてセリフも画面から消えて表情だけでみせ、駆け引きの恐ろしさをみせる。さすがに恋愛映画の名手といったところ。

 そして、後半のヒロインともいえる岡村たまき(吉田志織)が、イケイケばかりの登場人物のなか、異彩を放ちます。一見、まともそうで、一歩引いたような女の子だけど、複雑な生まれもあってちょっと常識外の行動をとる。愛らしい容姿をしている吉田の演技だけに、思わずはまってしまいそうになりました。

 今ケ瀬と恭一の絡みは結構激しく、R18でないのは不思議なくらい。キスもねっとりしたディープキスで、美青年同士だから美しく見られるというのが正直な感想です。やはり、恋愛映画を描くにはこのくらい性愛描写も密接にしなければというところでしょうか。また、出てくる部屋もレストランもお洒落な所ばかり。そのへんも、美しく耽美な作品に仕上がったのですよね。
posted by 映画好きパパ at 06:59 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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