2020年09月24日

ソニア ナチスの女スパイ

 第2次大戦中にナチスとスウェーデンの二重スパイとなった実在の女優ソニア・ヴィーゲット。北欧映画らしい陰鬱で重厚なテイストで、アクションシーンはほとんどないのに、緊迫感はたまりません。

 作品情報 2019年ノルウェー映画 監督:イェンス・ヨンソン 出演:イングリッド・ボルゾ・ベルダル、ロルフ・ラッスゴード、アレクサンダー・シェーア 上映時間110分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマ・ジャック&ベティ 2020年劇場鑑賞185本



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 【ストーリー】
 第二次大戦中、ナチスドイツに占領されたノルウェー。人気女優のソニア・ヴィーゲット(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)は、ノルウェーでのナチスの責任者
ヨーゼフ・テアボーフェン(アレクサンダー・シェーア)主催のゲッペルス歓迎パーティーを欠席。ヨーゼフは腹いせにソニアの老いた父親を逮捕して収容所に送ってしまう。

 ショックを受けたソニアにスウェーデン諜報部の幹部、トルステン・アクレル(ロルフ・ラッスゴード)が近づく。ソニアは夫がスウェーデン人の脚本家だったこともあり、両国を行き来していたのだ。そしてトルステンはソニアに、ヨーゼフから極秘情報をとれば、家族を安全な場所にかくまうと約束する。ヨーゼフに近づいて寵愛を受けたソニアだが、逆にスウェーデンの様子を探るよう命令され…

 【感想】

 戦争で運命が変わった人は大勢いますが、実際にこのような女優がいたとは知りませんでした。どこまでが本当かわかりませんけど、リアルに思える説得力はたいしたものです。変なアクションもないかわりに、重厚な雰囲気がずっと続き、先行きが見えない苦しさにあふれているというのは北欧映画っぽいよさ。

 ノルウェーでナチスに近づくということは、多くの国民にとって苦々しく思えることでした。しかも、スパイで近づいたということは誰にもあかせません。スウェーデンが事実を公表したのは彼女の死後何年もたった2005年だそうです。さらに、夫には捨てられ、父親は逮捕され、孤立無援だった彼女の唯一の支えだったのが、ハンガリーの外交官、アンドル・ゲラート(ダミアン・シャペル)との恋でした。

 しかし、アンドルも外交官という職務上、国際的な諜報合戦に巻き込まれています。さらに、ヨーゼフからは体の関係を迫られ、どうしようもなくなるソニア。それでも、家族の安全のためにスパイ活動を続けなければならない恐怖と絶望感はいかほどのものだったのか。まさにぞくぞくするサスペンスになっています。

 ファッションや美術の濃厚さも当時のことを思わせる上質なもの。低音の老優ロルフ・ラッスゴードのナレーションから入る出だしから、いっきに世界観にひきこまれました。何よりもイングリッド・ボルゾ・ベルダルのソニアになりきったかのような演技が素晴らしかった。小規模公開ながら見ごたえありました。 
posted by 映画好きパパ at 08:08 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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