作品情報 2018年中国映画 監督:岩井俊二 出演:ジョウ・シュン、チン・ハオ、チャン・ツィフォン 上映時間113分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2020年劇場鑑賞187本
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【ストーリー】
姉のチィナンが自殺した。妹のチィファ(ジョウ・シュン)はそのことを伝えるために同窓会に行くが、チィナンと間違えられて言い出せないまま姉のふりをする。あいさつもそこそこに会場を飛び出したときに、作家のチャン(チン・ハオ)に声をかけられた。そして、姉のふりをしてチャンと文通することになる。
30年前、中学生だったチィファ(チャン・ツィフォン)は転校生で年上のチャン(邊天揚)にあこがれていた。だがチャンはチィナン(ダン・アンシー)のことが好きで、彼女へのラブレターを渡すようチィファに頼む。だが、チィファは姉に手紙を渡すことができなかったのだ。
【感想】
ジョウ・シュンは中国の人気女優ですが、最近は日本で大規模公開される作品が少ないため僕自身はそれほど印象がありません。チン・ハオも同様。だから、日本版の福山雅治、松たか子、広瀬すずといった人気俳優が演じているのをみると、どうしても演技している感じが否めませんが、本作では素直に物語にのめりこみました。
基本的な筋は一緒で、中学時代のチィファ、チィナン役の子役が、現代では彼女らの娘役と一緒の配役とも同じです。でも、中国にローカライズされていることがあるかもしれませんが、日本版にくらべて人間関係などがすっきりしていることもあり、特に大きな変更は、小さな男の子をチィナンの息子にしたことで、家族の間の心情がよりわかりやすくなりました。子役の3人の関係も日本版にくらべてすっきりしており、切なさも増しています。
さらに高校から中学に変更したことで、中学の思い入れというラストレターが実に味わい深くなります。これも非常に心をうつシーンで、日本版に比べると郷愁、なくした青春への思いといったことが、より深くなります。1980年代の中国東北部の田舎は今では考えられないほど遅れており、それだけに素朴な当時と、今の違いというのも実感でき、日本人以上に中国人のノスタルジーをかきたてるのではないでしょうか。舞台が冬に変更されているのも中国映画っぽくていい。
スタッフは中国人に任せているなか、撮影は最近の岩井映画を手掛ける神戸千北、音楽は岩井自身が担当しており、岩井作品独特の雰囲気は健在です。それもあって、日中両方の良いとこどりであり、全体的に僕は中国版のほうが好きです。
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