作品情報 2020年アメリカ映画 監督:クリストファー・ノーラン 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、ケネス・ブラナー 上映時間150分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2020年劇場鑑賞191本
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
ウクライナのオペラハウスでテロ事件が発生。CIAの工作員だった名もない男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は鎮圧のための特殊部隊にまぎれて活動するが、敵にとらえられてしまう。自決用の薬を飲んだがそれは睡眠剤にすり替えられていた。
船の中で気づいた男は、フェイ(マーティン・ドノヴァン)という男から、不思議な任務を与えられる。それは未来から時間を逆行させる装置がもたらされ、このままでは第三次世界大戦で世界が破滅する。それを防げというのだ。キーワードはTENNETという謎の言葉。男はニール(ロバート・パティンソン)という工作員の協力で、時間逆行を支配しようとするロシアの武器職人セイター(ケネス・ブラナー)に近づく。そしてセイターの妻キャット(エリザベス・デビッキ)が深刻なDVを受けていることを知り…
【感想】
説明をしないでさまざまな知識、雑学をいれて観客を混乱させる手法がとっており、初見ですべてわかった人はすごいでしょう。ネットに書いていましたが、TENNETという言葉自体、ラテン語の回文から来ており、そのなかにはセイターとかオペラとかの単語も含まれているそうです。普通の観客が何の情報もなくて映画をみてそんなことに気づけるとは思えません。
途中までは、オーソドックスなスパイ映画のセオリーにあった感じであり、予告にあった飛行機が倉庫に突っ込むシーンなど、派手な金を使って(製作費は2億5000万ドル)、迫力あるシーンを楽しめばいいや、というふうに割り切ってみていました。しかし、途中から時間の逆行が始まると、頭の中が疑問符だらけになります。
とにかく、テンポがよいので逆行の理屈を考えようとすると画面においてけぼりになってしまいます。それもあって、もう矛盾はつぶって、この世界の雰囲気を確かめればいいやというふうになってしまいました。映画をみたあとさまざまな考察サイトを巡回して、自分が見落としたこと、気づかなかったことが山のようにあることに驚かされるほど。
また、クライマックスの大アクションがまさにそうですが、時間の逆行と順行が一緒の画面にあって、ドンパチがはじまると、いままで見たことのない映像体験になります。ただただすごいな、とスクリーンから目を離せませんでした。映画ファンの間で1度でなく2度、3度と見返したいという声が上がっているのも納得できます。DVDで何度も再生停止で確認したい気がしますけど、これだけの迫力あるシーンは大画面で見たいし、低音の響きはたまらないし、一度は映画館でみるべき作品といえましょう。
しかし、映像やアイデアはすごいのですけど、主人公に名前がないですし、セイターもキャットもスパイ映画にはよく出てきそうな感じで、人間ドラマのようなものがないのですよね。ヒロインというべきエリザベス・デビッキも190センチの長身がみごとにはえていましたけど、感情移入もできなかった。ノーラン監督のインターステラーは家族の物語として見られたのですが、それに比べるとストーリーには今一つ入りきれませんでした。
【2020年に見た映画の最新記事】