作品情報 2019年日本映画 監督:三澤拓哉 出演:守屋光治、中崎敏、森優作 上映時間79分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ茅ヶ崎 2020年劇場鑑賞204本
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【ストーリー】
山と海に囲まれた神奈川県大磯町。高校バスケ部の仲良し4人組、奥山俊(守屋光治)、瀬田知樹(中崎敏)、伊藤和也(森優作)、足立英太(永嶋柊吾)は、卒業後、和也の親が経営する土建屋で働くことになった。学生時代のノリの延長で気ままな生活を楽しんいた4人。
だが高校時代の友情は立場の違いから次第に歪んだ、しがらみにとらわれたものになっていく。さらに、バスケ部の顧問で和也の叔父が謎の死を遂げたことから、4人の関係はさらに崩れていき…
【感想】
大磯というとロングビーチぐらいしか印象はないのですが、東京から電車で1時間のわりには、地方都市独特のどんよりした雰囲気、濃密な人間関係があるのだなと驚きました。三澤監督の地元ということで、こういう雰囲気は監督自身が味わった経験なのかもしれません。
ド派手な血しぶきがあがったり、密室とかトリックがあるわけでもありません。小さな土建屋とはいえ社長の息子であり、4人のリーダー的な和也が歪んだ小権力者であり、彼の一挙手一投足に他の3人はうすら笑いを浮かべながら従います。このあたりは日本社会の縮図というか、いやらしさがたまりません。さらに土建屋には借金があり、経営者の息子である和也はそのために怪しい仕事をしなければなりません。ここも地方の中小企業の悲劇を体現しています。
さらに、4人の一種の密接した家族のような関係に、英太だけ恋人の沙希(小篠恵奈)がいることで、微妙な関係がさらにおかしくなります。この小篠のさっぱりしたような気性だけど英太にラブラブというのが他のメンバーからみれば異質なものが入る気がしたのでしょう。地方というと性に淫靡な気がしますけど、まさにその通りな感じです。
タイトルのある殺人にしろ、終盤のシークエンスにしろ、単純にわかるものでなく、見た人自身の感性にゆだねるという感じでしょうか。人殺しというより、大人になることで殺さなければならない人間のありかたを示して言うような気がしました。ノースターだけに、みんな大磯に暮らしているようなリアルと、先の展開が読めないというのは興味深かった。撮影もしっかりしているし、日本のインディーズ映画は頑張っているという印象を改めて持ちました。
なお、本作はイオンシネマ茅ヶ崎限定公開ですが、全国公開目指してクラウドファンディングの募集中です。僕もわずかですが応援しました。 https://motion-gallery.net/projects/oisofilm
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