作品情報 2019年アメリカ、中国映画 監督:ルル・ワン 出演:オークワフィナ、チャオ・シュウチェン、ツィ・マー 上映時間100分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ新宿 2020年劇場鑑賞207本
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【ストーリー】
ニューヨークで暮らす中国系米国人のビリー(オークワフィナ)は、中国の地方都市長春に住む祖母のナイナイ(チャオ・シュウチェン)が、末期がんで余命3か月だとしる。そこで、一族はビリーの従弟ハオハオ(チェン・ハン)の結婚式を名目に久々に中国に集まることになった。だが、中国の風習でがんの告知はしていなかった。
幼いころに両親(ツィ・マー、ダイアナ・リン)とアメリカに移住したビリーは、告知をしないことはおかしいという。親戚たちは、やさしい嘘をつくのが中国の文化だというのだが…
【感想】
今から40年ほど前、僕の祖父ががんで亡くなりましたが、告知はしていませんでした。小学生ながらに不思議に思った記憶があります。当時は日本でもがんは告知をしないのが一般的でした。でも、死ぬ時間がわかるというのも個人の重要な権利だと認識されたのでしょうか、今では告知が当たり前。でも、中国ではしていないというのは不思議な気がします。劇中、死生観は東洋と西洋で違うというセリフがあったけど、日本はより西洋化されているのかもしれません。
ビリーは告知をしないことに不満に思っていますが、ナイナイは自分の体調が悪いことはしっていますし、ハオハオが交際3か月で急遽結婚することになり、アメリカ在住のビリー一家、そして日本在住のハオハオ一家が集まってくるのも、うすうす自分の病気のためだと気づいたでしょう。でも、互いにそのことをふれないというのが東洋的なやさしさなのかもしれません。
といって物語は辛気臭いものではありません。一族の長であるナイナイは肝っ玉婆さん。結婚式場に食事のメニューをめぐって文句つけるシーンは笑ってしまいました。また、ハオハオの新婦、アイコ(水原碧衣)は日本人で中国語が分からず、ナイナイも英語が分からないため、都合の悪い話は外国語でごまかすといったところもほほえましい。
中国が国際色豊かになったのも驚きです。ナイナイは2人の子供がいるけれど、それぞれアメリカと日本に住んでいます。一方、ビリーはアメリカで失業中。親戚から「いつ金持ちになるの?」と聞かれ、「当分先」と答えると、「中国ならすぐなのに」と言われてしまいます。今や、それだけ中国が経済的に自信があるということでしょうね。
一家が中国に集まってからの数日を単年にえがき、ほっこり、ときには切なくなります。そして、ラストの大技にはにんまりするでしょう。個人的には中国語をまったくしゃべれないアイコ役を無理なくこなした水原に目がひかれました。国際派女優として花開いてほしいものです。
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