2020年10月17日

シカゴ7裁判

 1968年、シカゴで反戦の暴動が起き、首謀者とされた7人が逮捕、起訴された。その史実をネットフリックスが豪華キャストで映画化。今のアメリカにも通じる政府、司法の歪みをあますことなく描いています。

 作品情報 2020年アメリカ映画 監督:アーロン・ソーキン 出演:サシャ・バロン・コーエン、エディ・レッドメイン、ジョセフ・ゴードン=レヴィット 上映時間129分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:イオンシネマ茅ヶ崎 2020年劇場鑑賞211本



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 【ストーリー】
 1968年、ベトナム反戦運動の活動家たちは、シカゴで開かれる民主党全国大会に合わせて抗議活動をするため全国からあつまった。ベイリーシカゴ市長は活動家たちを弾圧、警官隊や州兵を投入したことから暴動が発生、数百人の負傷者がでた。反戦運動家のリーダー、アビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)、トム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)ら7人とブラックパンサーの全国委員長ボビー・シール(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)の計8人が共謀罪で起訴された。

 しかし、主任検事のシュルツ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)すら、言いがかりに近いと起訴に反対していたが、ニクソン政権のミッチェル司法長官(ウィリアム・ハート)直々の命令で、裁判はスタートした。弁護士のクンスラー(マーク・ライランス)は被告が有利となる証拠を次々と上げるが、ホフマン裁判長(フランク・ランジェラ)はそれをすべて無視して一方的な裁判を行い…

 【感想】
 アメリカでは有名な事件なのかもしれませんが、僕は全然こういう裁判があったとは知りませんでした。ベトナム反戦を訴える若者たちの熱気はすごいですが、国家権力の圧力もすごい。しかし、ソーキン監督はポップなBGMとテンポの良いカット割りで映画を重苦しいものにせず、何もしらない観客にもわかりやすいものにしています。

 ラブアンドピースを訴える時代ということもあるのでしょうが、反戦運動家たちのデモは詩をがなりたてたり、公園で野営してフリーセックスを楽しんだりと現代よりは牧歌的にちかい感じでした。しかし、ベトナム戦争反対の世論を恐れた権力側は徹底的に弾圧します。それもポップな感じで描かれ、決して深刻な描写にはなりません。FBIの女性捜査官(ケイトリン・フィッツジェラルド)が覆面捜査官として、色仕掛けで活動家にせまるなんて、事実は小説より奇なりという感じ。しかも、情報をとられたことよりも、恋心を傷つけたほうが重い罪なんていうのだから。でもそれだけに、我に返ったときはぞっとしますね。

 法廷劇としても、裁判長が徹底的に妨害するなか、世界が見ているを合言葉にした被告、弁護団は少しずつ成果をかちとっていきます。シュルツが良識派で、ホフマンの余りの非道ぶりに内心嫌気をさしていたのも被告側の追い風になったのでしょう。しかし、黒人への差別的な扱いを含め、司法の独立とは名ばかりの様子をみると半世紀たっても世の中は大し変わらないのかもしれません。

 被告側は裁判長に一矢を報いようと場外乱戦に持ち込みます。アビーが法服のコスプレをして、裁判長より先に「意義を却下します」といったりして、これまた巨悪をおちょくるという感じで、みていて楽しい。そして、どうなるのかとおもわせたところに、感動的なクライマックスを向かえます。名優たちの競演といった法廷劇を堪能できました。エンドロールで現実のシカゴ7のその後がでますが、シュルツ検事やホフマン裁判長のその後もしりたかった。
posted by 映画好きパパ at 07:30 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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