2020年10月29日

テロルンとルンルン

 周囲から疎外された青年と少女の切ない出会いを描いた中編。異端の鳥ほどではないですが、人間社会は異物を排除しようとなっちゃうのでしょうね。

 作品情報 2018年日本映画 監督:宮川博至 出演:岡山天音、小野莉奈、川上麻衣子 上映時間49分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマ横浜みなとみらい 2020年劇場鑑賞223本



ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村






 【ストーリー】
 広島県竹原市で聴覚障害の高校生上田瑠海(小野莉奈)はいじめに遭っていた。ある日、引きこもりの青年朝比奈類(岡山天音)と出会う。朝比奈は父親が自分のために花火を作っているときに事故死したことから、周りからテロルンと呼ばれていじめられ、ガレージに引きこもっていたのだ。

 2人は反発しながらも、しだいに距離を縮めていくのだったが、周囲はそんな2人にさらに冷たくあたるようになり

 【感想】
 田舎ということもあるのでしょうけど、ただでさえどんよりした世界で、異物は真っ先に排除されてしまいます。瑠海へのいじめはテンプレみたいで、今は障害者にここまで露骨なイジメはないような気がしますが、類へのいじめは子どもから大人まで地域全体で排除しようとしているようで、日本社会のいやらしさをもろにだしていました。

 さらに、瑠海の母(西尾まり)と類の母(川上麻衣子)が、それぞれ自分の子供のことを想っているけど、それが視野の狭い状態になってしまって、事態をむしろ悪化させているのが何ともかなしい。ただ、当時者になると、余裕はもてないだろうなという気はするし、子どものほうもプライドや親の干渉がいやだとい思いが強くて事態を悪化させてしまうし、親子のかみあわない悲劇といえます。
 
 岡山はわりとこういう役が多いけれど、「アルプススタンドのはしの方」の小野もしっかりとした演技をみせており、はぐれ者同士の微妙な距離の関係というのをみせてくれました。49分という時間じゃ少しもったいないぐらい。でもその物足りなさこそが中編の魅力なのかもしれません。

 ところで竹原市のご当地映画で地元の団体も協力しているけど、むしろこんな閉鎖的な田舎ということで、イメージが悪化してしまうのではと余計な心配もしてしまいました。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。