作品情報 2019年スペイン、フランス映画 監督:ロドリゴ・ソロゴイェン 出演:マルタ・ニエト、ジュール・ポリエ、アレックス・ブレンデミュール 上映時間129分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネスイッチ銀座 2020年劇場鑑賞225本
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【ストーリー】
スペインに住むエレナ(マルタ・ニエト)のもとに、元夫のラモン(ラウル・ピエトロ)と旅行中の6歳の息子イヴァンから助けを求める電話がかかってくる。父親とはぐれてだれもいないビーチに一人になっているというのだ。半狂乱となるエレナだが、結局イヴァンは失踪してしまう。
10年後、エレナはイヴァンが失踪したフランスの静かな海岸町で、飲食店のアルバイトをしながら暮らしていた。ある日、息子の面影がある少年、ジャン(ジュール・ポリエ)を見かけ、激しく動揺するのだったが…
【感想】
序盤の行方不明になるシーンは親として心がいたみました。まだ幼い子供が電話で助けを求めているのにどうすることもできない。警察も頼りにならないし、ただただ不安と緊張が高まるだけ。実際に幼い子供はちょっと目を離したら行方不明になってしまうことがあるので、こういう場面になったらとても落ち着いてはいられないでしょう。
普通の作品でしたら、この後、ラモンとのやり取りとか捜索する様子とか入りそうですが、電話が切れた後はいきなり10年後に飛びます。子供を捜索するために海岸の町へきて、あきらめきれなかったことがうかがわれますが、恋人のヨセバ(アレックス・ブレンデミュール)もいて、静かにひっそりと生活していました。ところが、ジャンの登場で一転します。
わかりにくいのがジャンを母親としてみているのか、男としてみているのか。ジャンはエレナを女としてみているのが丸わかりですが、それを面白いようにあしらいます。まあ、この10年で心が壊れてしまったのかもしれませんけど、息子に似ているからと言って恋愛の対象にするという発想はちょっと怖い。
しかもエレナは39歳、ジャンは16歳とものすごい年の差があるわけです。周囲が反対するのも無理ないのです。にもかかわらず、エレナが徐々におかしくなっていくのには、ちょっとひいてしまいました。ジャンも両親への反抗期があるのかもしれませんけど、母親と同じぐらいの年の女性を恋愛対象にするというのも心理的に不全のような気がして、みているこちは乗り切れませんでした。エレナが壊れているがゆえに立ち込める色気はあるとはいえ、これだけ年の差があるとなあ。
さびれた海辺の町の映像や人気のない海岸の取り方は美しいし、じょじょに登場人物によっていくワンカット長回しを多用したり、カメラワークは工夫を凝らしていると感心しました。脚本やキャラによりそうより、美しく壊れた風景と心象をみる作品といえましょう。
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