作品情報 2018年カナダ、スウェーデン映画 監督: ロバート・バドロー 出演:イーサン・ホーク、ノオミ・ラパス、マーク・ストロング 上映時間92分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞237本
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推理小説でよくある、人質が犯人に感情移入するストックホルム症候群。その最初の例となったスウェーデンの銀行強盗の映画化。犯人、人質、警察とも今では考えられないくらいのほほんとしていたのにびっくりです。
作品情報 2018年カナダ、スウェーデン映画 監督: ロバート・バドロー 出演:イーサン・ホーク、ノオミ・ラパス、マーク・ストロング 上映時間92分 評価★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞237本
【ストーリー】
1973年、ストックホルムの銀行に自動小銃をもった男ラース(イーサン・ホーク)が押し入り、銀行員のビアンカ(ノオミ・ラパス)、クララ(ベア・サントス)ら3人を人質にとった。ラースの要求は刑務所にいる仲間のグンナー(マーク・ストロング)の釈放と、逃走用の自動車だった。
スウェーデン史上初めての人質立てこもり事件とあり、警察もマスコミもヒートアップ。捜査の指揮を執るマットソン署長(クリストファー・ハイアーダール)はグンナーを刑務所から銀行に送り込み、人質を解放するよう求めた。だが、人質を連れたまま逃走するといいはるラースとの間で膠着状態になってしまう。
【感想】
冒頭、「奇妙な話だが事実をもとにしている」との但し書きがあり、イーサン・ホークが変装のため、妙なカツラを頭につけたことから、緊張感がそがれるような話だということが想像がつきます。事件の一報が入ったときマットソンも家族とのパーティーの真っ最中だし。
また、事件がはじまっても、どこかぴんとがずれています。警察がビアンカの夫に連絡をとれるようにしても、ビアンカは延々と冷蔵庫に残った食事の材料を説明します。また、立てこもった銀行にテレビ局から電話が入り、ラースは総理大臣に電話をつなぐよう要求して、それが通ってしまいます。スウェーデンが小国ということもあるでしょうけど、日本では考えられないような強盗事件ですね。
ラースは強盗犯だけど根が善人で、以前につかまったときも押し入った先の病気のおじいさんに薬を渡して助けたほど。だから、警察もラースが人質を射殺しないと見込んで、逃走を認めようとしません。一報、ビアンカたちは、警察が交渉に応じないことで自分たちの命を軽んじているのかと怒りを覚えます。さらに、立てこもり中に体調の悪くなったビアンカのことを本気で心配して薬を要求する一方、犯人と人質がゲームで遊ぶなど緊迫感もへり、むしろ犯人側に同情的になります。
史実の検証では、ここまで人質は犯人に協力しなかったそうですが、映画では警察側が頑固で人質の安全を軽視しているようにみえるため、ビアンカのみならず観客も犯人に肩入れしたくなる構造になっています。ラースとグンナーをヒッピー、チンピラで社会の底辺に暮らしつつ根は悪い奴でなくみえる手法も一因ですね。ボブ・ディランの曲が効果的で、犯罪に巻き込まれることがあっても、実際はこんなにぐたぐたで何とかなるよといっているような、ちょっとほっとさせる効果がありました。
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