2020年11月16日

水上のフライト

 人間関係など描写の浅さは気になるものの、中条あやみの凛とした美しさはみとれるばかり。小学生たちの健気さもよかったです。

 作品情報 2020年日本映画 監督:兼重淳 出演:中条あやみ、杉野遥亮、小澤征悦 上映時間106分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:角川シネマ有楽町 2020年劇場鑑賞241本



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 【ストーリー】 
 走り高跳びのオリンピック代表まであと一歩だった女子大生の藤堂遥(中条あやみ)は交通事故で下半身不随の重傷を負ってしまう。絶望のどん底で自暴自棄になっていた遥を心配して、母親の郁子(大塚寧々)は亡き夫の親友宮本(小澤征悦)が主催するカヌー教室に連れていく。

 幼いころカヌーをしていた遥だが、なかなかうまく乗れなかった。しかし、生来の負けず嫌いからふたたびカヌーの練習を始める。宮本の元教え子で舟艇の整備をする加賀颯太(杉野遥亮)や小学生の教え子たちの応援するなか、宮本からパラリンピ出場しないと誘われたのだが…

 【感想】
 ストーリーの骨格はベタなのですが、いろいろ広がりそうな話が広まらなかったのがはがゆい。スポーツものとはいえ、郁子と宮本の関係とか、遥と加賀の関係とか、もうちょっと踏み込んでみてみたかった。また、クライマックスのレースで突然、ライバルの
朝比奈麗香(冨手麻妙)が出てくるのですが、これも少し前から登場させていれば深みがあったのに。

 また、勝気でストイックすぎて他人に不寛容だった遥が、事故で完全に心をとざし、その後に周囲の応援でだんだんと柔らかい笑顔を浮かべるようになるというのは、わかりやすい。夢が破れてもまた次の夢を追いかける尊さが伝わってきます。

 それでも、陸上時代の峻烈な表情の遥、カヌーにひたすら打ち込む姿、そして、うれしそうな笑顔など、中条あやみの美しさが満載です。これを大スクリーンでみるだけでも、入場料の価値があるというもの。特に終盤の山中湖でのレースシーンは湖面の光のきらめきを含めたまさに水上のフライトというべき画面が実にきれいでした。

 また、子どもたちが時には厳しく、時には励ます様子はほほえましい。ちょっとやんちゃだけど、純粋に遥を応援しようとする子どもたちの姿も、みているこちらの心を洗ってくれます。パラリンピックがコロナのせいで延期になってしまいましたが、実際のパラカヌーの選手もこやって周囲の人たちに支えられているかと思わず考えてしまいました。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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