作品情報 2020年日本映画 監督:山田佳奈 出演:伊藤沙莉、恒松祐里、般若 上映時間98分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマジャック&ベティ 2020年劇場鑑賞245本
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【ストーリー】
東京の古ぼけた雑居ビルの一室にあるデリバリーヘルス店・クレイジーバニー。体験入店したカノウ(伊藤沙莉)は、最初の客の中年オヤジに耐えられず逃走したが、なぜかスタッフとしてとどまることに。
すぐに暴力をふるう店長のヤマシタ(般若)や、わがままばかりいうデリヘル嬢たちに振り回されていた。そんななか、ナンバーワンのマヒル(恒松祐里)だけは、いつも笑顔でカノウに接してくれたのだが…
【感想】
登場人物がみんな人生どん詰まり。ちっぽけなプライドで他人をバカにしないとやっていけない人間模様を描きたかったのでしょう。そのためには場末の風俗店がぴったりと。確かに風俗店って人間のストレートな欲望がくる場所だし、世間から白い目で見られているのも事実ですが、ここまで登場人物がダウナーだと、ちょっとお話を作りすぎているような気がしました。
もちろん、僕は風俗店に勤めたことがないので実態がどうかわかりません。しかし、テレビドラマの「フルーツ宅配便」のように、日陰者だけどそこにいる人は本当だったら普通の生活をしていてもおかしくないのに、不幸や自分の愚かさからその道に入ってしまったというほうが納得できます。仕事にプライドを持っている人もいてもいい。本作はそういうのがみられず、ただの不幸なメンヘラの展覧会といった感じにとどまっていました。
伊藤、恒松といった人気女優に下着姿までさせてるとはいえ、全体的にそっち方面の描写は抑制気味で、性の業みたいなのが感じられず。ドロドロさもふくめて、人生を拒絶している人たちを描くというのは、格差社会の時代にふさわしいテーマですし、ウサギと狸の話とか考え方は面白いのだけど、なんか自分とは縁の遠い不幸な人々を、芝居としてみている感じがあり、没入できませんでした。ラストも詰め込みすぎにみえました。
伊藤は狂言回しみたいだったので、実質的に物語を引っ張ったのは恒松で、彼女の器用さはさすが。妹役のモトーラ世理奈との会話劇は、今が旬の2人の演技をたっぷり味わえました。他の風俗嬢役にも佐津川愛美、片岡礼子、森田望智といった印象的な女優を集めており、女同士の動物園的なところは面白かったのですが、山下やオーナー役のでんでんをはじめとする男性陣がいかにもな役割しかなかったのもちょっと残念。
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