作品情報 2020年日本映画 監督:沖田修一 出演:田中裕子、蒼井優、東出昌大 上映時間137分 評価★★(五段階) 観賞場所:ブルク13 2020年劇場鑑賞247本
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【ストーリー】
数年前に長年連れ添った夫の周造(東出昌大)を亡くして、75歳で一人暮らしをする桃子さん(田中裕子)。ある日、3人の男(濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎)が目の前に現れ、桃子さんの寂しさから生まれた妄想だという。
寂しさたちに囲まれて、まだ周造と出会った頃の若い自分(蒼井優)を振り返る桃子さん。これまで自分の人生にいろいろあったことを思い出し…
【感想】
認知症の人は、本人自身は幸せに感じているのかどうなのかわかりません。でも、僕は認知症になって、体が動かなくなってまで生きるのは嫌だなと思っています。桃子さんは妄想で認知症とは違うのだけど、小学生の孫娘がいぶかしげにみられたように、妄想と話しているときは完全にいっちゃった感じです。
桃子さん自身は夫に先立たれてからのほうが自分は輝いているといいきかせています。しかし、蒼井優演じる若いころの桃子が、古臭い実家を飛び出し、周造との恋に身を焦がし、可愛い2人の子供を産んでと輝いていたのに、現在の桃子はどうなのか。成長した子供たちともしっくりいかず、体もだんだん動かなくなり、妄想に逃げてしまうありさま。
田中裕子演じる桃子さんが飄々と演じて、時には周造の悪口を謎の歌で歌ったり、3人の寂しさと歩きながら踊ったりしてユーモラスに見えるけれど、自分がこういう立場になったらと思うとぞっとします。世の中の役に立たず、オレオレ詐欺は追い返すものの、車のセールスマン(岡山天音)の口車にのせられたり、病院や図書館で時間をつぶしたり。食事は自分で簡単に作れるものを作っていますが、なんか栄養補給のための義務みたいにもみえてしまいます。若いころはどんなに輝いていて、そのあといろんなことがあっても、結局、高齢者はそういう思い出にすがるしかないのでしょうか。
昭和のキャバレーみたいな演奏会があったり、子役がたくさんでてきたり、映画自体は多少長く感じられたとはいえ、重苦しくないようにとっています。それだから余計に、年寄りになることのつらさを感じてしまいました。
東出と蒼井の組み合わせは「スパイの妻」で見たばかり。東出が邦画で結構重用されているのは面白い。田中の心の声を蒼井がやっているというのも、2人の芸達者ぶりがわかりました。そのほか、大方斐紗子、鷲尾真知子といったベテランから子役まで、演技は楽しく見られました。まあ、身近に年寄りの世話とかがない人は、ユーモア交じりの人生賛歌にみられるのだろうなあ。冒頭は、別の映画と間違えたと思ったほど、沖田監督も好き勝手しているし。
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