2020年11月29日

脳天パラダイス

 1970年代の筒井康隆小説を思い起こすような奇想天外でハチャメチャなジャンルをクロスオーバーしています。個人的には前半からもっと飛ばしてほしかったのと、せっかくでてきたのにもったいない登場人物がいましたが、最近では例を見ない唯一無二の作品なので、好悪はわかれるでしょうね。

 作品情報 2020年日本映画 監督:山本政志 出演:南果歩、いとうせいこう、 柄本明 上映時間95分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:横浜ジャック&ベティ 2020年劇場鑑賞254本



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 【ストーリー】
 借金返済のため豪邸を手放して引っ越すことを決めた笹谷修次(いとうせいこう)。引越の日に娘のあかね(小川未祐)がツイッターに、「今日パーティーをするからだれでも来てください」とつぶやく。

 真っ先に登場したのが、一家を見捨てて男に走った昭子(南果歩)。修次とあかねは今更何しに来たとあきれるが、マザコン気味の息子ゆうた(田本清嵐)は大喜び。そして、だれでもという言葉につられて、インド人と日本人のゲイカップル、近所の小学生、東京観光に来た台湾人の親子、謎のホームレス(いとうせいこう)、大麻栽培のチンピラなど多彩な面々が続々と登場。阿鼻叫喚の宴が始まった…

 【感想】
 序盤は非常にまったりとした感じで始まります。父親の借金で家を手放すことになり、2人の子供は父親にも、自分たちを見捨てて男に走った母親にもあまり良い感情は抱いていません。このへんは普通のホームドラマといってもおかしくありません。

 しかし、謎のホームレスが登場し、柄本明が大声で叫びながらボロボロの恰好で走り回るあたりから、ちょっとずつ違和感というか不穏な動きになっていきます。そして、小学生やゲイカップルなどの登場から加速化していきます。ただ、正直、ここにいたるまでがちょっと長い。日常とハレの場の違いをみせるために、あえて、日常を若干長めにしたのかもしれませんが、正直、僕自身は予告から脳内でアドレナリンが噴出しているようなトンデモ映画を想定していただけにちょっと肩透かし。

 そして、あらゆる雑多なものがきて、パーティーは宴たけなわになっていきます。ミュージカル場面とかすごい楽しいし、何しに登場したのかわからない古田新太とか村上淳とかも珍妙に演技をしています。ただ、この部分も反社のかたがたとか本筋とは離れたところにいっちゃったので、すべての登場人物が何が何だかわからないぐらい盛り上げてくれればなおよかった。

 イメージ的にはインド映画のハイテンションなところ+1960年代のイギリスの能天気映画「マジッククリスチャン」「カジノロワイヤル」といったあたりのいいとこどりを期待していたのですよねえ。こちらの勝手な期待だったのですが、さらにもっとハイテンションで珍妙にしてくれれば、本当にハッピーな気持ちになれたのにと惜しい気がします。ただ、そういう観客のカタルシスをあえて無視して作ってやろうと思っているようにも見えたんですよね。なにもかも予定調和をぶち壊したところから新しいものがでてくるということなのかもしれません。

 登場人物たちはみな、ある種くるっているのだけど、南、柄本といったベテラン陣が壊れていく一方で、小川未祐、田本清嵐の若手2人がしっかりとついていっているのがいい。とくに小川の謎の歌は、日本の最近のおとなしいミュージカルと比べると白眉でしょう。

 本当に、好みのわかれる映画だとおもい、はまらない人は上映中苦痛だろうとすら思いますが、カルト的な作品が好きな人はおすすめ。なお、僕はこの映画にクラウドファンディングで10万円寄付していますけど、こういう最近ではみないようなユニークな作品が出来上がって、寄付した甲斐があったと思いました。
posted by 映画好きパパ at 07:05 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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