2020年12月03日

Mank/マンク

 映画史上に残る名作「市民ケーン」の脚本家、ハーマン・J・マンキウィッツを主人公にした市民ケーンの制作秘話。映画へのあふれる思いと共にフェイクニュースや政治とメディアの癒着など今のアメリカの問題に通じるテーマもでています。

 作品情報 2020年アメリカ映画 監督:デヴィッド・フィンチャー 出演:ゲイリー・オールドマン、アマンダ・セイフライド、チャールズ・ダンス 上映時間132分 評価★★★★★(五段階) 観賞場所:ヒューマントラストシネマ有楽町 2020年劇場鑑賞258本




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 【ストーリー】
 脚本家としては優秀だがアルコール依存症に悩むハーマン・J・マンキウィッツ(ゲイリー・オールドマン)、通称マンク。映画界に乗り込んできた若き天才オーソン・ウェルズ(トム・バーク)から新作の依頼を受け、足のケガをして動けないマンクは缶詰め状態で執筆を始める。

 マンクは、メディア業界の大物ウィリアム・ランドルフ・ハースト(チャールズ・ダンス)をモデルにした脚本を書き始める。じつはマンクはハーストやハーストの愛人、マリオン・デイヴィス(アマンダ・セイフライド)と因縁浅からぬ関係があったのだ。

 【感想】
 モノクロで音楽や映像も当時の雰囲気を出しており、フィルムのつなぎ目まで再現する凝りよう。脚本も20年ほど前に亡くなったジャック・フィンチャーであり、鬼才デヴィッド・フィンチャーが映画への思い、家族への思いなどさまざまな気持ちを込めて撮った力作です。

 元ネタの市民ケーンのように、現在と過去を入れ子状態にしたり、選挙が大きな転機になったりしています。ケーンがフェイクニュースで政治を動かしたように、ハーストや映画界の大物ルイス・B・メイヤー(アーリス・ハワード)もフェイクニュースで政治を動かします。市民ケーンを見ていたもしくは事前に見直したほうが、この映画を深く味わうことができます。

 1930年代、40年代のハリウッド黄金期がどのような雰囲気だったのか。マンクはいかにも当時の業界人で、頭もよくユーモアもあり、権威を恐れないけど酒に溺れる一面もあります。才気をハーストに気に入られるものの、政治信条はあわない。そのハーストとの関係は非常に複雑です。

 女性陣との関係も、口は悪い一方で心優しく頭の回るマンクをみているのが楽しい。誰よりもマリオンの理解者である一方、妻のサラ(タペンス・ミドルトン)を深く愛している。こういうさまざまな側面を持った奥深い人物です。過去パートのマリオンとの会話、現在パートの秘書リタ(リリー・コリンズ)との会話もまたそれぞれ、味わい深い。

 幅広い役柄でしられるゲイリー・オールドマンですが、本作はベストアクトといっていいほどで、オスカーにノミネートされても不思議ではないでしょう。多面性をもつマンクを見事に再現していました。また、チャールズ・ダンスも単なる悪役ではない、政財界の大物とはこういうものかというのを感じさせる演技でした。アマンダ・セイフランドをはじめとする女優陣の競演も見ごたえがあります。映画ファンには一押しの作品といえましょう。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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