2020年12月18日

ミセス・ノイズィ

 予告編からすると、ご近所トラブルを面白おかしく描いたコメディに思えましたが、真実とは何かという大きな社会課題をきちっと取り上げていて驚きました。なかなかの秀作です。

 作品情報 2019年日本映画 監督:天野千尋 出演:篠原ゆき子、大高洋子、新津ちせ 上映時間:106分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:キノシネマみなとみらい 2020年劇場鑑賞275本 



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 【ストーリー】
 郊外の古びたマンションに引っ越してきた売れない小説家の吉岡真紀(篠原ゆき子)。隣人の若田美和子(大高洋子)が午前6時前から干してある布団を大きな音で叩き出し、執筆の妨げになるとイライラ。

 さらに、幼い娘の菜子(新津ちせ)を連れまわすなど、迷惑行為を続ける若田に怒りが爆発。ののしりあいの喧嘩になっているところが動画で流れ、バズってしまう。そして、隣人トラブルをネタに連載を始めたところ大人気になるが、思いもよらない出来事が起き…

 【感想】
 事前知識を入れないで見たほうが良い映画ですが、一部ネタばれありで感想をいいます。以前、ワイドショーでも騒がれた騒音おばさんの隣人トラブルから発想したそうで、世の中、迷惑な人がいるなと多くの人が思ったでしょう。でも、実は周りから見れば迷惑行為でも、当人からすればちゃんとした理由があるのかもしれません。本作は冒頭は吉岡家視点で、途中から若田家視点で描き、同じ出来事でも見方が違えばこんなに大ごとになるのかと実感させられました。

 真紀も美和子もちょっと常識から外れた部分、視野が狭い部分があります。でも、それくらいは多くの人がもっていてもいい程度。しかし、最初のボタンのかけ違いが次々とエスカレートしていく様子はコミカルだけど、実際もこれに類したことがあるのかと思うと、ちょっと考えさせられました。

 真紀がトラブルを抑えようとする夫の裕一(長尾卓磨)のいうことを聞かずに突っ走る様子は、ちょっとこちらも引いてしまいます。でも仕事があるからといって、本格的に家族と向き合おうともしない裕一にも責任があるのかなとも思えてしまって、このへんの人物造形はうまい。ほかにも脇役はみなキャラがたっていて、僕自身もこうした、無意識に他人を傷つけていないかと不安に思いました。

 ネットやマスコミの描写は平凡ですが、でも実際の日本でも似たようなところがあるわけです。そうしたネットやマスコミの一方的な描写に踊らされる人たちと、本質をきちんとわかっている人の違いもしっかりでています。これまた今の日本ではフェイクニュースに踊らされる人が多いこともあり、制作当時の意図よりもはるかに風刺の聞いた作品になっていました。美和子が「世間がおかしい。わたしたちは間違っていないわよね」と不安そうに何度も自問自答しますが、こんな世の中じゃついそう思ってしまいますわ。

 篠原、大高ともがっぷり4つに組んで、いかにもいそうな人物を好演しています。特に篠原の、あれ、ちょっとこの人変じゃないと真紀のおかしさをさりげなくみせる描写がうまい。そして、映画でどんどん活躍が目立つ新津ちせ。新海監督の七光りではなく、ちゃんと演技でみせてくれるのだからたいした子役です。
posted by 映画好きパパ at 07:00 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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