2020年12月19日

10万分の1

 最近絶滅しかけた若者のキラキラ恋愛映画と事前のハードルは低かったのですが、ALSをきちんと取材して、難病ものとしてはかなりのでき。涙腺が崩壊しそうになったところもありました。

 作品情報 2020年日本映画 監督:三木康一郎 出演:平祐奈、白濱亜嵐、奥田瑛二 上映時間:112分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ川崎 2020年劇場鑑賞277本



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 【ストーリー】
 女子高生の桜木莉乃(平祐奈)は剣道部のエース桐谷蓮(白濱亜嵐)に恋心を抱いていた。しかし、告白する勇気をもていなかったところ、逆に蓮から告白されてしまう。幸せの絶頂にあった莉乃だが、ある日、突然倒れてしまう。

 病院で検査を受けた結果、難病のALSであることが判明。ショックを受ける莉乃は自分から別れを切り出そうとするが…

 【感想】
 一時期、難病ものや高校生のきらきら恋愛映画が山ほど作られました。低予算で若手俳優のプロモーションになり、そこそこ客入りもよかったからでしょう。しかし、観客側に飽きられたのか、最近はめっきり減りました。そんななか、久々にみたこの手の映画のなかでは、作り手の映画への向き合い方が感じられ、なかなかの出来栄えでした。

 難病ものなのに病名が不明だったり、あるいは病状なり治療法なりが明らかにちょっと、というものは意外とあります。先日みた「オール・マイ・ライフ」も病人なのに、妙に元気そうに踊ったりしたのが気になりました。本作は最初は原因不明の病状で不安を感じ、やがて、病名が診断され次第に症状が重くなるという経過をしっかりと描いています。平の最初はドジっ子と思いきや実は病気でとなるなか、莉乃の明るさややさしさがわかるような演技もしっかりだしているのはよかった。

 特に感心したのは、この手の恋愛映画で避ける性や排泄の問題もきちんと盛り込んでいること。もちろん、青春恋愛映画ですからソフトに描かれているけど、女の子のほうから性欲について語るというのは、高校生という年齢からいってそれが普通でしょうし、ちゃんと向き合っているのは貴重でした。また、2人の親友役に優希美青と白洲迅というちゃんとした役者を配しており2人をサポートしているし、最初は莉乃に嫌がらせをしていたグループ(森田想ら)が、彼女が病気だと知ってきっちり反省する描写も、良質な青春映画ぽかった。

 何より物語を奥行深くしているのは、莉乃の祖父役の奥田瑛二。幼いころ両親を事故で無くした莉乃を親代わりに育てており、一見強面でもだれよりも愛している様子は、最近は権力者や悪役が多かった奥田が演じるだけに新鮮に感じました。ちゃんと大人の俳優が締めるのも、良い青春映画の条件だと思っているので、まさにあてはまりました。惜しむらくは公開時期が悪かったかなあ。もっとみられていい作品だと思うのですけどね。
posted by 映画好きパパ at 18:24 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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