2020年12月26日

私をくいとめて

 「勝手にふるえてろ」で評判をよんだ大九明子監督が再び綿矢りさ原作の小説を映画化したけど、ちょっと食い散らかした感じ。のんの演技はすばらしかったけど。

 作品情報 2020年日本映画 監督:大九明子 出演:のん、林遣都、橋本愛 上映時間:133分 評価★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイ品川プリンス 2020年劇場鑑賞284本

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 【ストーリー】
 アラサーのOLみつ子(のん)は一人暮らしを満喫していた。彼女の脳内には相談役のA(中村倫也)がおり、困ったり寂しい時には相談できるのだ。ところが、ある日会社の出入りの営業マンで、年下の多田(林遣都)に恋をしてしまう。

 偶然、多田の家が近所だったことから、みつ子は晩飯のおかずを作ってあげることにする。しかし、それ以上に踏み込んだ関係にするにはどうしたいいか悩むみつ子。そんな折、彼女の唯一の親友で今は結婚してローマにいる皐月(橋本愛)から年末年始の休みにイタリアに遊びに来ないかと誘いがあり…

 【感想】
 「勝手にふるえてろ」の主人公良香が、ちょっとおかしいけどまだこちら側にとどまっている感じがしたのに、みつ子は完全にいっちゃった感じがします。モノローグの多さは似たり寄ったりだけど、良香の痛さは、ああ自分にもこういう部分があると思わされるのに、みつ子の場合はちょっとひいちゃうというか。

 みつ子がときどき内心でものすごく毒づく場面は好きなんだけど、そこだけ切り出されていて、じゃあ多田や皐月との関係にそれがどう結びつくのかというのがいまいち不明瞭。さらに、みつ子、皐月、それに会社の先輩OL(臼田あさ美)といろんなエピソードがでてきて、なんかまとまってない感じなんですよね。短編集をそのまま映画にした感じでしょうか。

 おひとりさまという言葉がいま流行っているように、一つのライフスタイルとして確立されています。みつ子も一人で温泉にいったり、焼肉食べたりおひとりさまを満喫しているようにみえて、実はそれが痛い、人とつながらないとだめだよという発想が根底にあるようなのが、ぼっち上等の自分としては余計なお世話に感じたのかもしれません。

 しかし、のんの演技はすばらしい。彼女の出演作のなかでも内面の深みやさりげないしぐさといい、群を抜いています。さらに、「あまちゃん」からの盟友である橋本愛とのコンビが完璧です。また、一切姿は見せない脳内ナレーションの中村の語り口も、癒し系の暖かさがあり、こういう配役もあるのかと感心しました。そして、片桐はいりが出番は少ないけれどおいしい。若干長めの作品ですけれど、評論家筋の評価が高いのもむべなるかな。
posted by 映画好きパパ at 07:55 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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