作品情報 2019年韓国映画 監督:イ・ジョンオン 出演:ソル・ギョング、チョン・ドヨン、キム・ボミン 上映時間:120分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞285本
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【ストーリー】
セウォル号沈没事故で高校生の息子スホ(ユン・チャンヨン)を失ったジョンイル(ソル・ギョング)とスンナム(チョン・ドヨン)夫妻。ある事情で海外から韓国に戻れなかったジョンイルに、スンナムの心は冷え切っていた。事故から1年以上たち、ようやく帰国したジョンイルに会おうとしなかった。
スホの妹で幼いイェソル(キム・ボミン)は、久々に父親と会えてうれしいが、母親のことも気にかかる。一方、悲しみがいえないスンナムは、遺族の会がスホの誕生会を開こうと提案してきても、拒否するのだったが…
【感想】
2014年に韓国で起きたセウォル号の沈没事故では修学旅行中の高校生ら300人近い犠牲者がでました。本作は事故そのものは扱いませんが、子供を失ったことに加えて、補償金目当てだといった遺族への誹謗中傷もあわせて遺族たちがいかに苦しい思いをしたかを静かに描いています。
長編デビューとなるイ・ジョンオン監督は、韓国の巨匠イ・チャンドン監督の弟子筋だそうで、悲劇的な事故を取り扱っているのにあえてセンセーショナルにはせず、淡々とした日常を積み重ねていきます。息子を失ってしまったことで壊れた夫婦の関係、友人関係などが続くのはしんどいけれど、だれかを断罪するのでなく、ジョンイルとスンナムの心に寄り添っていく演出はイ・チャンドン仕込みなんでしょう。
そして、ソル・ギョング、チョン・ドヨンという韓国を代表する名優2人が、静かに悲しみを表現していきます。スンナムが心を壊して周囲に迷惑をかける様子は、韓国映画らしい喜怒哀楽の爆発というのがあるのだけど、そこに至るまでの道筋が丁寧に描かれているので、違和感は受けませんでした。そして、子役のキム・ボミンがいい味をだしています。
そして、タイトル通りの誕生会。亡くなった子供の誕生会を開くという風習が韓国であるのかはしりませんが、もう、ここで泣かないのはおかしいというようなエピソードを積み重ねていきます。映画館内のあちこちからすすり泣きが聞こえました。僕自身、感動的に思えましたが、一方で、この題材でこういう作りにすれば泣くに決まっているだろうという醒めた部分もあります。まあ、素直に鑑賞するのだったら泣ける名作といえるのでしょうけどね。
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