作品情報 2020年アメリカ映画 監督:ジョージ・クルーニー 出演:ジョージ・クルーニー、フェリシティ・ジョーンズ、ケイリン・スプリンゴール 上映時間:122分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:シネマート新宿 2020年劇場鑑賞287本
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【ストーリー】
近未来、地球は滅びようとしていた。老天文学者のオーガスティン(ジョージ・クルーニー)は避難をせずに北極の天文台にとどまる。人類を移住させるために木星の衛星を調査していた探査船が地球に戻ろうとしており、地球の現状を知らせようとしたのだ。
天文台に一人残ったオーガスティンだが、探査船との交信はできない。避難しそびれた少女アイリス(ケイリン・スプリンゴール)と出会う。汚染は天文台にも近づいており、2人はより北極点に近い観測所に避難して、交信しようとする。一方探査船の通信使サリー(フェリシティ・ジョーンズ)は地球の応答がないのを不安に感じていた…
【感想】
天文台と探査船の様子を交互に映し出します。探査船はサリーや船長のトム(デヴィッド・オイェロウォ)ら5人の乗員しかおらず、少なく狭い空間で物語は進んでいきます。天文台と宇宙船、意図せずに閉じ込められた空間にある2つの場所で、人にとって最後に何が大切なのかを考えさせられます。
地球が滅びゆくことがわかっている天文台ではオーガスティンの命も消えようとしています。アイリスはしゃべれず、謎めいた存在ですが、老いて病んだオーガスティンの心の支えになっています。一方で探査船のクルーは地球に戻って家族や友人に2年ぶりに再会できることを楽しみにしています。サリーのおなかの中には赤ちゃんがおり、絶望の天文台と見事に対比されています。
2カ所の交信もなかなかうまくいきません。探査船は小隕石群に襲われ故障の危機。このへんはクルーニーがでていたゼロ・グラビティを想起しました。一方、北極でも猛吹雪のなか、老人と幼女の2人で避難しなければなりません。宇宙の映像が正直CGでよくある感じなのに対して、北極は同じようにCGを使っているのに、本当に極寒で迫力のある映像が続きます。
とはいえ、派手なアクションというわけでもなく、基本的には静謐な感じ。クラシック調のBGMで危険な場面は盛り立てますが、やはり人間にとって孤独とは何か、家族とは何かを考えさせられるのでしょう。僕はアイリスはもしかしたらオーガスティンの見た幻ではないかとすら疑ってしまいました。地球の最後の1人として死ぬよりは、だれかがそばにいないと人間はもたないわけです。そんなことすら思ってしまいました。人生の終わりにだれがそばにいてほしいでしょうか。一方、宇宙船のクルーたちも長期的に考えれば希望とみるか、束の間の希望とみるのかどうなんでしょうね。生きることとは何なのかとも思えてしまいます。
クルーニーの老人演技は結構はまっていて、オーシャンズ時代の彼からは想像が付きませんでした。無垢な少女との組み合わせも、本当に老いや死の孤独をわすれさせてくれるみたいでなかなかのものでした。
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