作品情報 2020年日本映画 監督:田中光敏 出演:三浦春馬、三浦翔平、森川葵 上映時間:109分 評価★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズ日比谷 2020年劇場鑑賞289本
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【ストーリー】
幕末の長崎。薩摩藩の若き俊才五代才助(三浦春馬)は、海軍や西洋の勉強をしつつ、後に歴史を動かすことになる坂本龍馬(三浦翔平)、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤博文(森永悠希)と交流を深めることになる。
攘夷派から命を狙われる五代は、川に身投げしようとした遊女ハル(森川葵)を救う。遊女でありながら勉強しているとしていじめられていたハルは、遊女のような貧しい女は夢をみてはいけないのかと嘆き、五代は日本をだれもが夢がみられる国にしていくと決意を語る。2人は互いにひかれあうのだが、激動する時代がそれを許さず…
【感想】
天外者とは鹿児島弁ですごい才能の持ち主ということだそうです。五代友厚は朝ドラの「あさが来た」でディーンフジオカが軽やかに演じていましたが、大阪以外の地域ではあまりしられていない人物です。幕末には薩摩のために上海で軍艦を購入し、薩英戦争の終結に力を入れ、明治になってからは民間人として大阪商法会議所の初代会頭として、大阪の商業振興に尽力しました。吉村大阪府知事、松井大阪市長がカメオ出演していますが、大阪にとっての大恩人です。
その激動の人生は大河ドラマの主人公になってもおかしくないほどですが、2時間弱で描くには時間が足りませんでした。特に映画を盛り上げるためにオリジナルキャラのハルとの恋愛や、チャンバラ場面(といっても五代は剣の達人ながら相手の命は奪わない)をいれたため、肝心なところの描写がすっとばされたのは否めません。例えば攘夷の志士たちがあそこまで執拗に五代を狙うのに全然追い付けないとか、むしろギャグでした。
また、幕末編の終わりのほうで、遊女の女将(かたせ梨乃)から説教されるのが一つのターニングポイントになるのだけど、ここも消化不良。いい場面だったのにもったいない。上映時間を若干伸ばすかせめて、テロップをいれれば改善されたのに、という気がしてなりません。
しかし、三浦春馬を始め俳優陣は見ごたえがありました。自決するよう迫られた五代は、自分はなんとしても生きなければならないと答えるシーンは、目頭が熱くなります。そのほか、長崎の青春を楽しむ青年から、大阪商工会議所会頭としての威厳ある雰囲気まで、見事な使い分けです。上映後に三浦春馬追悼と感謝のテロップが流れて、場内から拍手が起きていました。
三浦翔平も春馬とはプライベートで親友だそうで、五代と龍馬の雰囲気もそれがうかがわせます。西川も本職は歌手とは思えない芸達者ぶりでした。女性陣は森川にフォーカスがあたったぶん、本当の妻役の蓮佛美沙子の登場時間が少なくなったのはもったいなく、ここでも上映時間を長くしたほうがよかった気がします。同時にサブキャラクターを引っ張った三浦春馬という若手実力派の存在感を改めて確認しました。
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