2021年01月03日

ジョゼと虎と魚たち

 田辺聖子の40年前の小説が原作で、2003年には妻夫木聡主演で実写化もされました。そのアニメ版。実写は見ましたが、それと比べるとえぐさ、生臭さを取って、障害者との純愛にフォーカスしています。

 作品情報 2020年日本映画アニメ 監督:タムラコータロー 声の出演:中川大志、清原果耶、松寺千恵美 上映時間:98分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:Tジョイ横浜 2020年劇場鑑賞296本



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 【ストーリー】
 大阪の大学生、鈴川恒夫(声・中川大志)は坂道で車いすが止まらなくなった若い女性ジョゼ(清原果耶)を助ける。祖母のチヅ(松寺千恵美)と2人で暮らしているジョゼは毒舌でわがままだったが、恒夫は彼女の世話係をアルバイトですることになる。

 チヅから外は怖い人間が多いと外出を禁じられていたジョゼだが、恒夫は彼女の願いをかなえようと、動物園や水族館そして海などに連れていく。彼女の内面が純粋であることに気付いた恒夫は次第に距離を縮めるが、一方で翌年の春にはメキシコに留学して別れなければならなかった。やがて…

 【感想】
 実写版ではメキシコ留学なんて話はなかったので、リアルといえばリアルなんですが、こちらのほうがタイムリミットが決まっている恋愛を美しく描いており、僕は好みです。ジョゼの口の悪さは、祖母に家に閉じ込められていたことと、祖母の言う通り外の世界にはろくでもない連中が多いため、身を守るための殻で、その奥底には傷つきやすく、純粋な心がありました。当初、恒夫はジョゼに辟易とします。しかし、ジョゼの内面がわかるために応援したくなります。

 恒夫の友人の隼人(興津和幸)や、恒夫に片思いしている後輩の舞(宮本侑芽)、そしてジョゼの初めての友人となる図書館司書の花菜(Lynn)もドロドロしたところがなく、ピュアの極みです。実写版では肉体関係が結構えがかれていましたが、アニメ版は純愛ばかり。このへんが甘いとみるかどうかの分かれ目でしょう。ただ、せっかくのアニメなので、青春純愛のほうがいいですね。

 ジョゼにメキシコ留学のことをいいだせないまま、どんどん彼女にひかれていく恒夫。一方で、恒夫が大切なことを自分に打ち明けてくれない不満と、自分が彼の夢を壊すのでないかと恐れる不安に苦しむジョゼ。この2人の対比がなんとも切なくて美しい。心が洗われます。今年見たアニメの中では一番気に入りました。

 中川、清原とも本職は俳優ですが、声優ぽいいわゆるアニメ声ではないところが、本当にいそうな若い男女を表現していてうまかった。特に清原は自分よりも年上で障害者の女性という難しい役どころですが、難なくこなしていたのはさすがです。脇の宮本、興津はアニメで活躍する声優で、脇がアニメ声であることから、中川、清原とうまくはまっていました。そして、祖母役の松寺はNHKの朝ドラでも関西弁指導をしている在版のベテラン女優。彼女の指導もあったのでしょうけど、関東出身の僕からすると、ジョゼとチズが本当に浪花の女性と実感させられました。
posted by 映画好きパパ at 07:20 | Comment(0) | 2020年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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