【ストーリー】
1935年、中国・仏山は武術の本場として数多くの道場が開かれていた。だが、そのなかでも最強といわれた詠春拳のイップ・マン(ドニー・イェン)は弟子をとらず、静かに生活をしていた。道場破りの荒くれ者、金(ルイス・ファン)がやってくるが、軽くあしらい、住民から尊敬されていた。
しかし、1938年仏山は日本軍に占領され、イップ・マンは財産を没収され、作業員で糊口をしのいでいた。日本の三浦将軍(池内博之)は空手の使い手で、窮乏している仏山の空手家たちに武芸を見せれば米を褒美に与えると呼び寄せていたがイップ・マンは応じない。だが、その場でイップ・マンの知人が殺された。イップ・マンは三浦のもとを訪れ、帰宅しない知人の行方を尋ねるが、殺されたことを知り、10人と同時に勝負し、瞬く間にたたきのめす。三浦は今度来るときは自分が相手になるというが、イップ・マンは二度とこないという。友人の清泉(サイモン・ヤム)の工場が金に襲われ、工場で武術を教えることとなったイップ・マン。金は撃退するが、日本軍に逮捕され、三浦との勝負を強要される。
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【感想】
中国人武道家が、暴虐な相手に殺され、イップ・マンが仇を打つというのは、2作目と同じパターン。ただ、「2」に比べて、日本軍というわかりやすい悪役がいる分、中国では人気を博すとともに、日本での公開が難しかったのだろう。作品としてみたばあい、前半は平時の、町の長者ともいえるイップ・マンの生活がユーモア混じりで描かれる一方、後半の日本軍との対峙は、緊迫感あるシーンばかりで、この緩急のつけかたはうまい。
前半は、香港映画特有のユーモアが良い具合にちりばめられている。一番面白かったのが、イップマンの妻(リン・ホン)のツンデレさ。イップ・マンに「家の中で闘うときは物を壊さないように」としかりつけたり、でも、イップ・マンのことが大好きで、彼のピンチになると泣きそうになって。モデル出身のリン・ホンの美貌がキュート。
ただ、後半は日本軍の扱いが今ひとつ。三浦の部下の佐藤大佐(渋谷天外)は中国人を惨殺したり、どうみても悪役なのだが、三浦自身は礼儀を重んじ、佐藤をしかりつけたりする。三浦を含めて徹底的に悪役にするか、逆に、三浦に最後に見せ場を作るかすればわかりやすかったけど、三浦が悪役になり切れていない分、すっきりしないのだ。また、池内は空手シーンはノースタントでがんばっていたが、年齢からすれば将軍というのはちょっと無理があるのでは。
なお、金、清泉ら「2」でも登場する人物がおり、「2」では当然、「1」の説明ははしょっていたのだから、初めて理解できた。そういう意味でも、もし見る機会があれば「1」「2」の順がいいでしょう。なお、史実ではイップ・マンは日本嫌いでしたが、香港に移住したのは、彼が国民党員だったからで、そのへんは、共産党中国の映画ではさすがに省いてますね。採点は6.5(新宿武蔵野館)
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