作品情報 2020年アメリカ映画ドキュメンタリー 監督:エイプリル・ライト 上映時間:84分 評価★★★★(五段階) 観賞場所:TOHOシネマズシャンテ 2021年劇場鑑賞2本
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【ストーリー、感想】
SFXでは再現できない、いやSFX全盛だから必要とされるスタントたち。無声映画のころは、女性がちゃんとスタントをしていたのが、ハリウッドが巨大化するにつれ、女性アクションは男性が吹き替えることがおおくなりました。しかし、1970年代からスタントウーマンたちが、第一線で活躍。偏見を乗り越えて、今では素晴らしいアクションに取り組んでいます。
本作は女優のミシェル・ロドリゲスがプロデュース、ナレーションと一部のナビゲーターを務めて、スタントウーマンたちの活躍をドキュメンタリー映画にしました。若手のスタントウーマンが、業界のレジェンドといわれる人たちに、当時の話を聞きに行く場面もあり、こちらも勉強になりました。
男優先の映画界、なかでもスタントマンはその傾向が強かった。70年代はスタントウーマンだけでなく、同じように差別されていた黒人スタントマンとの連携もしていたとか。骨折などのけがは当たり前、最悪は死んでしまうこともあるこの仕事ですが、難易度が高いスタントが成功したときの爽快感は何物にもかえられないといいます。
格闘、爆発、カーアクション、あらゆるスタントに対応できるよう、普段からトレーニングをかかさない彼女たち。なにしろ、全盛期のシュワちゃんや、最近ではキアヌと
格闘して、派手な見せ場をつくらないといけないのだから、並大抵のことではありません。小さなレーシング場のようなところで、カーアクションの訓練ができるというのは、さすがハリウッドです。高いところから飛び降りる練習台なんか、いくら下に安全マットがあるとはいえ、僕には絶対できないと思いました。
若手が楽しさを話すのもいいですが、70歳を超える大ベテランが、差別や偏見に負けない当時のことを語るのも、ハリウッドの裏面史を聞くようで面白かった。麻薬をすって危なくなったスタントマンを批判したら現場から干されたとか、日本では考えられないような話をいくつもきけました。
また、大ベテランのスタントウーマンが、もう体が動けなくなって引退したと涙ながらに語るシーンは、ぐっとくるものがあります。それに対して、彼女にあこがれて業界に入った若手が、あなたの姿はスクリーンでずっと残るのだからとなぐさめ、映画界の伝統も感じました。
僕は全然気が付かなかったのだけど、派手なアクションだけでなく、人質や逃げ惑う人もスタントマン、スタントウーマンがやるわけです。お年寄りたちがたくさん乗ったバスがバスジャックされ、乗客たちはみんなベテランスタントマンだったという話はちょっと目からうろこでした。
映画の裏方を描いた「映画音響の世界へようこそ」に比べると、こなれていないところがありますが、その分、愛にあふれていました。日本語字幕で、スタントウーマンたちの出演作が訳されていないのはちょっと残念でした。アクション映画好きなら、新しい見方を覚えられ、見逃せない作品です。
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