2021年02月06日

マネーボール

カイジ2は公開時期が悪かったと思ったけど、この映画は公開時期がよかったですね。巨人の清武騒動とどんぴしゃりだったのだから。でも、日米でGMの役割がこんなに違うというのも、知識としてはしっていても映像でみて実感できた気がします。野球ファンにはおすすめ。

 【ストーリー】
 2001年、大リーグのアスレチックスはヤンキースとのリーグ優勝決定戦に敗れた。アスレチックスの選手の年棒はヤンキースの3分の1しかない貧乏球団。さらに、シーズン後、ジェイソン・ジアンビなどチームの主力選手3人がヤンキースなど金持球団に取られてしまい、まさにチーム存亡の危機に陥っていた。

 GMのビリー・ビーン(ブラッド・ピット)はインディアンズのフロントにいたピーター(ジョナ・ヒル)から、野球界は選手を長年の勘で選ぶのでなく、統計的な手法で選ぶべきとの意見を聞かされる。ピーターを引き抜いたビリーは、サイバーメトリクスと呼ばれる最新鋭の統計数字を駆使し、従来ならいらないと思われた選手をかき集めた。ハウ監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)やスカウトたちは不満を抱くが、ビーンは押し切る。やがて2002年のシーズンが始まったが、アスレチックスは連敗続きで・・・





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 【感想】
 ビーンが初めて、大リーグでは当たり前になったマネーボール。得点に変わりないと、打率よりも出塁率を重視したり、バントはアウトをあげるものと徹底的に嫌うなど、それまでの野球のセオリーを無視しただけに、反発も大きかった。けれども、選手時代に失敗して、スカウトたちのいい加減な選手の選定法に不満をもっていたビーンは、反対を押し切る。話は聞くが、決断を下したあとは揺るぎもしない。組織にとって理想的なリーダーだ。

 しかし、組織にとって理想的でも、上司として理想かというと、部下になったら大変。実績を出さないとすぐ首になる。アメリカはもともとドライだけど、試合前にロッカールームにいき、そのまま首を言い渡すなんて、勝負の世界の非情さがみにしみる。しかし、見た目などで実力はあるのに、チャンスを失っているひとにはちゃんと助け舟をだすなど、冷酷かというとそうでもない。あくまでも勝負に徹したプロということなのだ。家族といるときに弱みをみせる人間的な部分も好感がもてる。

 その補佐役のピーターは、野球経験のないエール大学で経済学を専攻したオタクデブ。彼が球団の会議に加わったとき、体格のいい元プロ選手ばかりの室内では、場違いだという雰囲気がありあり。しかし、自らの理論を信じる彼は、ビーンの名補佐官になる。ラスト、彼がビーンに語りかける言葉の温かさはほろりとくるだろう。ちなみに、この映画は基本的に実名だが、ピーターのみは実際と違う名前。なんでも、自分の役がオタクと設定されるのに反発して、自分の名前を使わせなかったそうだが、映像的には、イケメンのブラピの補佐役が切れ者のデブというのは成功だったと思う。

 思ったより試合のシーンが少ないけれど、トレードの舞台裏をのぞけるというのは野球ファンにとってうれしかったし、数少ない試合シーンは実に効果的。また、ビーンのリーダー像というのは、野球界のみならず、会社などの組織でも参考になるだろう。それにしても、球界では横浜、広島といったチームはもとより、巨人もビーンをフロントに呼んだらどうだろうか。ただ、皮肉な現実として、アスレチックスは、マネーボールになって強くなったものの人気が急落している。そこらへんは中日の落合監督を彷彿とするけれど、興行の難しさというのも考えさせられました。採点は7.5(TOHOシネマズ六本木ヒルズ) ちなみに、イチローのシーンは監督が意図的に登場させたそうです。
posted by 映画好きパパ at 23:11 | Comment(0) | 2011年に見た映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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