【ストーリー】
ラジオ局に勤める27歳のアダム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は、珍しい骨髄のがんであることを告げられる。生死の確率は50%ずつ。親友のカイル(セス・ローゲン)は、カジノだったら大勝ちできる確率だ、と慰めになるのか分からない励ましをしてくれる。
恋人のレイチェル(ブライス・ダラス・ハワード)とは介護を受けっぱなしでどこかずれあってくるり、心配しすぎる母のダイアン(アンジェリカ・ヒューストン)の小言ばかり。病院のカウンセラー、ケイティ(アナ・ケンドリック)に至っては、研修中の新人で、どちらがカウンセリングしているのか分からない有様。それでも、治療を進めるアダムだが・・・
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【感想】
身近な人から「がん」だと聞いた家族や友人の戸惑いと患者本人のギャップをコミカルに描いている前半は、ニヤニヤしっぱなし。特にカイルが天然なのかどうか分からない発言を繰り返し、アダムに対して「有名人だってがんから生還した人はいっぱいいる。パトリック・スウェイジとか」と笑顔で話すと、アダムが苦笑いを浮かべながら「彼はがんで死んだ」と答えるシーンなどは、最高にツボにはまった。
一方、次第に看病疲れをしてしまうレイチェルや、夫もアルツハイマー患者で看護をしなければならないダイアンなど、暗くなりがちな部分も、病人と周囲のギャップをうまく描いて、コミカルにしているのはすごい。ジョゼフ・ゴードン=レヴィットのどこにでもいる気弱な青年という風貌もよくマッチしている。
けれども、前半で笑える部分が後半の伏線となり、いろいろ考えさせられたり、思わず涙がでそうになるくらい感動させるというのもうまい。病人を思いやる周囲の気持ちにアダムが気づくシーンは邦画だったら押しつけがましく描くのだろうけど、さらりと描写している。また、ある人の葬儀の場面なんかもそうだ。
どんな悲しい時でも笑いはあるし、健康そのものにみえても病気は襲ってくる。生と死はだれもが体験しなければならないことであることを、さりげなく気づかせてくれる秀作でした。主人公視点だから、ちょっと脇の人物の描写が一方的と思える面もあるけれど、だからこそ、観客である僕も主人公の気持ちがわかるようになったのかもしれません。採点は7.5
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