【ストーリー】
米国の田舎町の高校ではいつもの通りの日常風景が流れていた。酔っぱらいの父の相手をして遅刻したジョン(ジョン・ロビンソン)。カメラマニアのイーライ(イライアス・マッコネル)は学校にカメラを持ち込み、あれこれ写真をとる。フットボール部のネイサン(ネイサン・タイソン)はガールフレンドとのデートを楽しみにしている。食堂では女の子たちが彼氏や親の悪口に夢中だ。
そこへ、クラスでも浮いているアレックス(アレックス・フロスト)とエリック(エリック・デュレン)がネットで手に入れた銃を持って、学校にやってくきて、銃を乱射する。
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【感想】
カンヌで監督賞と作品賞をとった本作も、「セブンスコンチネント」同様、なぜアレックスとエリックが銃乱射をしたのかについて、明確な説明はない。アレックスはベートーベンの月光を弾く芸術を愛する少年。なぜ、このような凶行を行ったのか。いじめられっこで、内向的な性格だったから、と紋切り型の解説はできても、それは彼らの心を分かったことにはならないだろう。
しかし、なぜ起きたかのではなく、平凡な日常が突然凶悪な事件によって断ち切られるという、何が起こったのかを描いており、そして、こうした日常に起きる突発事というのは銃乱射ほどのことはなくても、だれにでも起こりうることなのだ。
カメラワークは特定の登場人物に肩入れすることなく、淡々と等分に学生たちをうつしだしていく。それぞれの学生が行うことや、話すことは僕らにも経験があるようなことばかり。しかし、凶行は善も悪も関係なく、彼らの人生を終わらしていく。
陰鬱な色調、登場人物が何度も見上げる空、そして、ベートーベンの美しい調べ。前半の淡々とした描写が、後半一気に切り崩されていくところも、え、これで終わり?と思わせるラストも秀逸。できることなら、感受性の豊かな高校時代に見たかった。採点は7.5