クレしんシリーズの最高傑作どころか、上映当時、映画秘宝誌で邦洋問わずベスト1に選ばれた名作。という評判を聞いてみましたが、映画の質は高いものの、僕の感覚と微妙にずれているような気がします。大人には直撃する内容だけど、子供はどうみたのかな。
【ストーリー】
かすかべに20世紀を体現できる「20世紀博」というテーマパークができた。ひろし(声・藤原啓治)、みさえ(ならはしみき)は童心にかえって大喜びするが、しんのすけ(矢島晶子)は、そんな昔のことに全然興味を持てない。
ところが、翌日、ひろしたちをはじめ、町中の大人がどこかへ消えてしまった。実は20世紀博は、汚い21世紀を捨てて、人々が温かい心をもった古き良き昭和時代に戻ろうとするケン(津嘉山正種)たちが作り上げたものだった。しんのすけは、両親を取り戻そうと立ち上がる。
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【感想】
昔は良かった、昭和は貧しくても人の心に暖かみがあった、というのは、映画「3丁目の夕日」をはじめ、最近のマスメディアにあふれかえっている。でも、僕はまったくその意見に共感しない。だって、ネットも携帯もない時代にもう一度戻るって、不便じゃん。それに、昭和の方が心が豊かっていうのは、大嘘。特に老人がいうのはうさんくさい。あなたがたの世代が戦争起こしただろう。殺人の件数は今よりはるかに多いでしょう。
だいたい、親子のきずなを割くっていう最悪のことをしておいて、人の心は豊かっていうケンのセリフは、白々しくて歯がういてしまう。むしろ、永井豪の傑作漫画「ススムちゃん大ショック」(子供を持つ親にとって衝撃的な作品です)のような展開だったらまだ納得いったのに。だから、ケンたちの組織イエスタデイワンスモアにはまったく共感できなかったし、「未来を返せ」というしんのすけの叫びは当たり前すぎたので、心に響かなかった。
ただ、この映画がすごいのは、そういう回顧熱を2001年の時点で皮肉っていること。そして、そういう回顧厨を、決して断罪しないというのもうまい立ち位置にいる。さらに、「ウルトラマン」「ルパン三世」をはじめ、多くの名作をパロディにしているギャグ部分も健在。
また、家族がいることが何よりも幸せという言葉や、ひろしの回想シーンなど、世代を超えて共感させる力がある場面を要所要所にちりばめているのもお見事です。一度は見る価値はある作品だけど、はまるかどうかは観る人しだいかな。採点は7
2021年02月08日
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