けっこう前に見たDVDの感想が残ってました。シングルマザーを演じた小西真奈美が、毎日映画コンクールやヨコハマ映画祭で主演女優賞をとった作品。緒方明監督ということで気になっていたのだが、劇場ではスケジュールがあわず見られませんでした。邦画らしいこぢんまりした佳作といったところでしょうか。
【ストーリー】
31歳の小巻(小西真奈美)はぐうたら亭主(岡田義徳)に愛想をつかして離婚届をたたきつけ、幼稚園の娘の乃里子(佐々木りお)を連れて実家に帰った。しかし、31歳のシングルマザーに世間は冷たく、なかなか就職先を見つけられない。
幼なじみの写真屋川口(村上淳)の手伝いをしているとき、町の定食屋の主人、戸谷(岸部一徳)の味付けに感動した。もともと娘ののんちゃんのためにのり弁当を作るのが大好きだった小巻は、戸谷に弟子入りして、将来は弁当屋になることを夢に見る。
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【感想】
キャスティングのうまさが何よりも光る作品。どちらかといえばお嬢様っぽい小西を、芯がしっかりして、ぐうたら亭主を投げ飛ばすようなシングルマザーに抜てきしたのは見事。一方、岡田義徳は「おと・な・り」同様、ダメ男がここまで似合うと思えるほどのはまり具合(「イグアナの娘」の好青年はどこにいったのか)。そして、さすがの渋い演技を見せる岸部にかわいい子役。脇役も、小巻の母の倍賞美津子、小巻の同級生で保母の麗華(山口紗弥加)といったたくましい女性陣、村上のどこか中性的な頼りなさ、と見事な配役ばかり。
予告をみると、中谷美紀演じるシングルマザーが頑固な料理人(藤竜也)に弟子入りする「しあわせのかおり」とかぶるのかと思ったが、本作はあまり料理のシーンは多くなく、小巻という1人の女性の生き方をしっかり描いていた。シングルマザーの生きる大変さも描かれているが、下町ならではの人間描写もあり、小西の演技もありひょうひょうと見られる。
フードコーディネートが「南極料理人」「かもめ食堂」の飯島奈美ということもあり、でてくるのり弁は本当においしそう。お腹がすいているときに見るのがいいかもしれない。
物語はあまりに小じんまりしているので、正直、あとに何かが残る作品でもないのだけど、お気楽に上質な邦画がみられるという意味では良いかも。採点は6.5.
2021年02月12日
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