【ストーリー】
江戸時代末期、将軍の異母弟の明石藩主、松平斉韶(稲垣吾郎)は領民を残虐な方法で虐殺する極悪非道な君主だったが、将軍の弟であるということで、罪に問われなかった。斉韶が翌年、老中に就任することが決まり、筆頭老中の土井利位(平幹二朗)は斉韶の暗殺を決意する。
刺客に選ばれたのはお目付け役の島田新左衛門(役所広司)。彼は甥の新六郎(山田孝之)、旧知の剣豪の平山(伊原剛志)、親友の倉永(松方弘樹)ら十二人の刺客を集め、参勤交代で姫路に帰る斉韶の暗殺を計画する。だが、明石藩の用人、鬼頭(市村正親)は島田の計画を察知する。
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【感想】
最近のリメイクチャンバラ映画のなかでは、ずばぬけて質が高い。やはりそれは稲垣吾郎の悪役ぶりがつきぬけているところが大きい。平然と女子供を殺すが、貴人にうまれた一種の美学をもっており、それがなんとも魅力になっている。
彼が言っていることは正論なのだ。それなのに、正論をいうだけで極悪な行為になっていくというのは、社会構造の矛盾をあぶりだしている。人気グループSMAPの稲垣という先入観があるだけに、好き放題の悪役ぶりは役所よりも松方よりも、とにかくその存在が強烈に印象的だった。月9の「流れ星」でも悪役をやっているけど、役者として一皮むけたのではないか。
また、島田たちと鬼頭たちの対決も、準備段階での知恵比べはおもしろかった。わずか12人で、200人を超える明石藩の行列の中、どうやって暗殺を成功させるか。それに対してどうやってと襲撃を乗り切って殿様を逃がすか。血なまぐさいところを含めて、終盤の対決まではわくわく期待が高まっていく。時代考証も、特に違和感が感じない。
だけど、肝心の襲撃シーンが、長すぎてだれました。まともな斬り合いではかなわないので罠を張るのはいいのだけど、そのあとのチャンバラで島田たちが強すぎちゃってゲームみたいでつまらない。これが、「暴れん坊将軍」のようなお気楽な時代劇だったらお約束だからいいのだけど、この映画はそれまでリアルな部分を積み重ねてきたのに、いざ、肝心な場面になると、全員が超人的な活躍をするというのが、50分続けられてもな。これはまさに好みの問題で、ここをほめている人が多いのは理解できるけど、僕はだめでした。ただ、映画としての質は高いと思うので採点は6(TOHOシネマズららぽーと横浜)