【ストーリー】
草食恐竜のおかあさん(声・原田知世)は川で卵を拾い、自分の子供と同様に育てる。生まれてきたハート(声・山口勝平)は、肉食のティラノサウルスの子供なのだけど、自分が草食恐竜だと信じてやまない。
しかし、草食恐竜と肉食恐竜は天敵同士。やがて、母親のもとを離れたハートは、ティラノサウルスの仲間ともなじめず、一匹狼に。ある日、卵からかえったばかりの赤ちゃん恐竜(声・加藤清史郎)を「おまえうまそうだな」と食べようとしたところ、赤ちゃんはハートのことをお父さんと勘違いし、自分の名前を「ウマソウ」とつけられたと大喜び。ハートは仕方なくウマソウを育てることにしたのだが・・・
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【感想】
動物を主人公にした作品では、肉食が悪、草食が善となるのだけど、人間も肉を食べるように、生物が生きていく上では他の生物を犠牲にするのはやむを得ない。そこをあえて肉食恐竜を主人公にしたという発想がすごい。無自覚に他者の命を奪う人間よりも、よほど、ハートのほうが、生命の尊さを考えている。まあ、同じ言葉を話す生物を食べるのはどうか、と思うけれども。
さらに、お母さんとハートの関係、ハートとウマソウの関係から、親子の情愛と、でも、いつかは離れなくてはならないものであることをうまく示している。このあたりも、親子の距離のとりかたが下手な現代人にとっては、うまい皮肉だ。母を思い出すハートの回想シーンは、何とも重い。
主役にベテラン声優の山口をもってきて、その相手役に原田知世、加藤清史郎、別所哲也といった俳優を起用したのもいい。声優らしさ、アニメではちょっと浮いてしまう俳優らしさというのがあるけれども、それがうまい具合に相乗効果がでていた。
ただ、絵柄が、かなり躍動的なのだけど、やはり原色を多用しているのと、ちょっと大げさな表現をとっているあたりが、やはり子供向けという気持ちがしてしまう。これも、リアルな絵柄で、こういう話はできないというのも理解はできるのだけど、なんか、真っ正面からではなく変化球で勝負されているような気が。採点は6.5(ヒューマントラストシネマ有楽町)