いかにも英国映画らしいシニカルな青春映画に、映画への思いもたっぷりまぜた作品。心をほくほくさせてくれます。
【ストーリー】
11歳の少年ウィル(ビル・ミルナー)は、母(ジェシカ・スティーヴンソン)、ぼけている祖母(アンナ・ウインク)、幼い妹(タルーラ・エヴァンズ)と暮らしている。一家は厳格なキリスト教教団「同胞の家」の熱心な信者で、テレビ、音楽はおろか、俗世間の友達と遊ぶことも禁じられていた。
ウィルは、学校で隣のクラスの悪ガキ、リー・カーター(ウィル・ポールター)にパシリのように使われてしまう。ところがリーの家で、初めて映画「ランボー」を見たウィルは、大興奮。自分がランボーの息子になったつもりで、ごっこ遊びを始める。映画監督になるのが夢だったリーは、ウィルを主役にランボーの息子の映画を作ることを思いつく。
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【感想】
家族に恵まれず、ちょっと変だということで学校でも浮いてしまっている二人の少年。ウィルがあまりに純朴ということもあり、最初はリーのパシリに使われていたのだけど、ランボーという共通のあこがれの対象があり、二人はいつしか親友になっていく。このあたりのプロセスが丁寧に描かれている。
けれども良いことばかりではない。フランスからの留学生ディディエ・(ジュール・シトリュク)、リーをこき使う兄のローレンス(エド・ウェストウィック)といった年長者によって、撮影はトラブル続き。けれども、この映画はディディエやローレンスを単なる悪役にせず、彼らもまた、さみしいがゆえに、こんな問題行動をとるのだという、人生の切なさを、さりげなく示しているのがいい。
ランボーの息子の内容も、いかにも子供っぽい夢物語なんだけど、それをしっかり映画にしようという2人のアイデアもまたうならされる。ランボーファンならニヤリとする場面も多いのでは。また、当時の英国のティーンの好きなファッション、音楽などもしっかり反映していて、見ていて楽しめる。
終盤は怒濤の展開。人間の美しいところ、醜いところ、さみしいところを、子供の世界でもしっかり出ているのをみると、結局、人間なんていくつになっても変わらないものなのか、というのと、故水野晴郎氏ではないけれど、「映画って本当にいいもの」という感情があわさったまま、映画館を出ました。採点は7(渋谷シネクイント)
2021年02月13日
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