【ストーリー】
親から虐待を受けた経験から、初めて妊娠して、親になることに戸惑う伴夫妻。生まれつき難病をもち、1歳まで生きる確率は1割しかないといわれながらも産む決断をした松本夫妻。出産予定日にお腹の中の赤ちゃんが死んでしまった関根夫妻。9年にもわたる不妊治療が実らず、出産を断念した東夫妻。この4組の夫婦を通じて、赤ちゃんが生まれることは何か、描き出していく。
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【感想】
冒頭、ちょっと宗教がかったアニメと、胎内記憶を持つ親子へのインタビューからスタート。ちょっと失敗したかなと思いきや、やはり、新しい命をやどすということは実に重い。それに、こういってはなんだが、つらい事情を抱えている4家族を見ていると、我が家はこうした苦労がないだけでも幸せなんだと思ってきて、娘への愛しさがこみあげてくる。
難病の赤ちゃんを持つ松本夫妻は、決して自分たちが不幸だとは考えていない。いつまで生きられるか分からない息子と過ごす日々を、毎日精いっぱい充実して過ごしている。他人からは実感できない家族のきずなが、だからこそ見えている気がする。また、死産の関根夫妻も、最初は泣きはらしたり、自分たちに落ち度があると責め続けていたのだが、周囲のサポートもあり、徐々にそのことに向き合おうとする。こうした姿を見ていると、赤ちゃんが生まれることもすばらしいけど、親であることもなんと素晴らしいのだろう、と素直に感動がこみあげてくる。
象徴的だったのが、それぞれの親が、たとえ難病や死産だったとしても、産まれてきて、自分たちを親として選んでくれてありがとう、という気持ちになっていること。子供は産むものではなく、産まれるもの、というのに、最近の人の考えがよく出ているように見える。不妊に苦しむ東夫人が、そうした意見に疑義をもっているのもバランスがとれていて好感をもてた。それでも、見終わった後、自分の娘をみて、産まれてきてありがとう、という気持ちを素直に伝えたくなった。
話の主軸となっているのは伴夫妻。妊娠中の自分が親になっていいのかという不安、特に夫の無自覚な無理解をみていると、自分もそうだったな、と反省する。やがて、そんな事前の心配などふっとばすような、出産という大仕事。よくここまでカメラで撮れたなと思うほど、その場面は神々しい。子供を持つ人にも、子供なんかいらないよ、という人にも、見てもらいたいドキュメンタリーでした。採点は7.5(川崎チネチッタ)