【ストーリー】
警視庁11階の会議室で幹部会議が開かれている最中、八重樫(小沢征悦)という男が乱入し、田丸警視総監(品川徹)、長谷川副総監(国村隼)ら幹部12人が人質になった。だが、八重樫はなにも要求しないうちに、特殊部隊が制圧し、犯人は射殺、人質は全員解放された。
八重樫は朝比奈警部補(小西真奈美)を銃で脅して会議室に案内させていたが、特命係の神戸警部補(及川光博)の機転で、朝比奈は救出された。しかし、特命係の杉下警部(水谷豊)は、八重樫と朝比奈の行動、さらには、八重樫の射殺に不審を抱く。事件の裏には日本の警察機構を揺るがす秘密が隠されていた。
【感想】
ドラマでも何度も描かれていた警察上層部の腐敗と対立をそのまま映画に持ってきた。「踊る〜」など似たような作品に比べると地味だけど、その分、登場人物の腹黒さがたまらなくおもしろい。中でも、ドラマのシリーズ1から、杉下を庇護し、時には対立していた警察組織の黒幕、小野田官房長(岸部一徳)と、いよいよ決定的な関係になってしまう。
理想が現実のなかで変容していくなか、なにが正義なのか。絶対的に正しいものがあるのか、という小野田と杉下の対決の構図は、神戸や大河内首席監察官(神保悟志)の意外な一面を見せながらも、クライマックスを迎えることになるのは、どきどきしました。内村刑事部長(片桐竜次)がキャリアだったというのも、意外な感じがあります。
また、国村の清濁併せのむような演技、そして、小西のほほを伝う一筋の美しい涙と決意の表情などゲストにも満足。このほかのゲストも含めて、映画だけでは終わるとは思えないので、ドラマでの再登場がまたれます。こういう濃厚なドラマはいいですね。
ただ、少しでも派手にしようと思ったのか、ある登場人物が銃で狙撃しようという場面があるのだけど、物陰に隠れず、あんな堂々としているのに、だれも気づかないというのには、突っ込みを入れたくなりました。音楽もそこはチープだったし。重厚な作品なら、余計な欲をださずに、淡々と処理してほしかった。採点は7(TOHOシネマズ六本木)
なお、ドラマ版で先日放映された「ボーダーライン」は、本当にすさまじい作品で、ここ何年かのドラマではナンバーワン。見終わったあとに、鬱鬱した気分になるけれども、現代の日本を描いた必見の作品です。冗談みたいなギャグまじりの作品から、鬱作品、そして映画のような警察の腐敗ものまで、幅広いのが相棒の魅力ですね。
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