是枝裕和監督のデビュー作。これは、DVDでなく映画館でみたかった。そうすれば、もっと印象深く残ったと思います。ちょっともったいなかった。
【ストーリー】
ゆみ子(江角マキコ)は、幼い頃、祖母の失踪を止められなかったことで心に傷を負っていた。やがて、郁夫(浅野忠信)と結婚して、赤ちゃんをもうけたが、郁夫は突然自殺してしまう。
月日は流れ、ゆみ子は子連れで能登の小さな漁村に住む民雄(内藤剛志)と再婚する。ゆったりと新しい生活は始まったが、「なぜ、あの人は死んだのか」という疑問は、心の底にこびりついて離れなかった。
ブログ村のランキングです。よかったらポチッと押してください
にほんブログ村
【ストーリー】
デビュー作に監督の特徴が現れると言うが、全体的に陰鬱な色彩ながら、光の明暗をうまく使ったライティング、ドキュメンタリータッチのところはたしかに現在にもつながっている。溝口をも思い出す、ひいたところからのワンカットで、一見、本筋とは関係ないが、映画の世界を深く醸し出す撮影技法には恐れ入る。
ただ、あまりにも静かかつ、巧みな技法なため、観客にも集中力と、想像力を要求している。DVDだとどうしても、気が散ってしまうので、多分、この映画のすごさの半分もわかっていないと思う。ただ、年間自殺者が3万人と、先進国では突出して多いこの国で、20年近い前に撮られたこの映画が、すでに遺族にたいして、温かい目線をもっているというのは驚きかも。
江角はどうしても「ショムニ」のイメージが強いのだけど、それ以前に、これだけ雰囲気を要求される演技をこなしていたのも意外な発見。かならずしもうまいわけではないのだが、ゆみ子のもつ喪失感と再び大切なものを失うのではないかという恐れはよく表せていた。
また、阪神尼崎と能登の漁村という、まったく違うロケーションでありながら、ゆみ子の心象風景をうつしだしたような、孤独を町並みに反映させられたというのも是枝監督の手腕。おくりびとよりもはるかに前に日本人の死生観を表した作品が有るというのも感慨深い。採点は7
2021年02月23日
この記事へのコメント
コメントを書く